四国は高知に「ほにや」という和雑貨のブランドがある。
日本でも知る人ぞ知る、この「ほにや」が、中国に初上陸し、わずか4日間で知名度が0から少なくとも1000万人に認知されるまでになった。4日間でどのようなマジックを巻き起こしたのか?
博覧会開催の3週間前に出展を議論
4月27日の深夜、東京の銀座で、私はほにやの泉真弓社長らと、ある展示会に出展するかどうかを議論していた。5月13日に、「雑貨の都」と呼ばれる中国浙江省義烏市で開かれる、大型輸入品展示会「2016年義烏輸入品博覧会」である。すでに開催まで3週間を切っているという段階で、初めて出展を議論し始めたのだ。
ほにやが義烏で披露しようと考えたのは、同社が率いるよさこいチームである。高知県の観光資源であるよさこいを、中国でPRしようというわけだ。同時に、ほにやブランドの商品も展示したい。
そして4月30日、義烏市当局に参加の可否を打診してみた。その時点ではすでに空いている展示ブースが一つもない状態だった。しかも中国も日本も大型連休に突入してしまい、ことは思うように運ばない。焦っていたところ、中国の連休が終わった5月3日、義烏市当局から緊急連絡が入った。一般のブースではなく、逆に一番注目されるところの展示スペースを確保できた、と。
しかし、日本のゴールデンウイークはまだ続いている。ツアーの手配がままならず手も足も出せない状態が続く。ようやく連休の終わった5月8日に、義烏に赴く二十数名の名簿がまとまった。その後、日本航空などの航空会社にも協力を仰ぎ、何とか全員のエアチケットを確保することができた。
だが、問題はまた起きた。5月12日の出発当日、ある参加者がその日の朝8時半にならないとパスポートを入手できないというのだ。なんとかフライトの数時間前にパスポートが届くという、綱渡り的進行になってしまった。
それでも全員が大分、高知、関西、静岡、東京など日本各地の空港から無事、飛行機に乗り、義烏に到着した。
そして5月13日、晴れて義烏の展示会会場に登場。その後は、テレビ局や新聞社、見学者から大きな注目を浴び、一躍して展示会内のもっとも美しい花となった。