「寿退社」が完全な死語になる日は近いのかもしれない。ユーキャン(東京都新宿区)とアイシェア(東京都渋谷区)は共同で、女性の結婚後の働き方に関する意識調査を行った。これによると、男性の6割が結婚後も妻に「働いてほしい」と感じており、専業主婦願望のある女性のうち7割は「結婚後、専業主婦になれない」と感じているということがわかった。
妻に働いてほしい理由トップは
「経済的な不安」
調査によれば、未婚で有職者の男性686人のうち、「結婚・出産後、妻に専業主婦になってほしいか(自分が働くという前提)」という問いに対して、「できれば働いてほしい」は55.1%、「絶対働いてほしい」は7.9%だった。
その理由として最も多かったのが「自分だけの収入では経済的に厳しいから」(41.9%)。消費税の増税や年金問題など将来の懸念事項は多い。1世帯あたりの平均所得額が下がり続けていることも、不安感と無関係ではないだろう。以下は、「結婚後も家庭だけでなく社会とのかかわりを持ち続けてほしいから」(25.5%)、「好きな仕事をずっと続けてほしいから」(10.6%)、「家事と子育てだけだと息が詰まると思うから」(7.9%)と続く。
また、「結婚・出産後に妻が働くために、資格取得など今から妻が準備をしておいた方が良いと思うことがある」と答えた男性も、51.2%と約半数に上った。一昔前の「お嫁さん像」といえば「家庭的」「優しい」などだったが、最近では、「出産後も続けられる仕事を続けられるだけのスキル・キャリア」も求められているのかもしれない。
「専業主婦」は今や贅沢!?
「なりたくてもなれない」が7割
女性もこの気配は察知している様子。未婚・有職者の女性に「結婚・出産後、専業主婦になりたいか」を聞いたところ、「専業主婦になりたくない」と答えた人は46.1%だった。
「収入や生活にゆとりがあるならなりたい」(49.8%)、「収入や生活にゆとりがなくてもなりたい」(4.0%)も合わせて半数以上いたが、そのうち、「結婚・出産後、専業主婦になれると思う」と答えた人は全体の約3割。約7割は「たぶんなれないと思う」「絶対なれないと思う」と答えた。また、専業主婦を希望する女性でも、8割が「結婚を考えている男性から、結婚・出産後も働いてほしいと言われたら働く」と答えた。専業主婦になることが、一部の人に限られた「贅沢」になりつつあるようにも見えるアンケート結果だ。
総務省の「労働力調査」によると、1980年には全体の約3分の1だった共働き世帯が1990年~2000年にかけて全体の半数になり、近年では、「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」を上回っている。
共働き世帯が増え続ければ、保育問題や女性の雇用の場についてなど、新たな問題も出てくるはず。新たな「家族像」が求める社会制度について、考える時期が来ているのかもしれない。
(プレスラボ 小川たまか)