前回、当連載でも取り上げたネットメディア『ニコニコ動画』の「ニワンゴ」取締役・西村博之(ひろゆき)氏との生トークは、予想以上の反響があった。その中で、途中、場外から飛び入り出演して、独特の存在感を示していたのが、心療内科医の岡田聡先生だ。
ご本人の希望により、仕事先はAクリニックとしか明かせないが、実は岡田先生は、中継会場のオーナーでもあり、この日、都合の悪かったスタッフの代わりに管理立会人として、たまたまスタジオの傍らで話を聞いていたらしい。ところが、「あそこに70年代の人がいるから…」と振られてしまったので、つい話をしてしまったのだという。
そんな岡田先生の話が大変興味深かかったので、後日、改めて引きこもり問題についてインタビューしてみた。
教師に増えている精神疾患
原因は「生徒との関係性」だけではない
岡田先生が開業する2つの心療内科クリニックに訪れる外来患者は、6割強が神経症圏だという。ちなみに、残りの2割が躁うつ病圏、1割が統合失調症圏、1割が特定不能という内訳で、この特定不能の人を含めると、神経症圏は7割に増える。この中には、初診時に疾病未満者として帰された人は含まれていない。
外来者の年齢層は、高校生(高校生以下の方は以前は思春期外来として引き受けていたが、現在は他院へ紹介しているため)から80歳代までで、中核は、20~40歳代が占めるという。
中でも目立つのが、小学校から高校までの学校教師。一時期、校長先生だけでも、同時並行で4人診ていたという。
また、若い世代では、親が教師という人が多かったらしい。
「子供にしてみると、幼少のころから、ずっと先生しかいない環境というのは、やはり特殊。一方、教師も、本人が小学校へ入学して以来、学校という社会しか知らない。それに、学校はいま、いろいろな形で、社会の矛盾の象徴みたいになっているのではないか」