北海道の千歳空港で東京に帰る飛行機の搭乗を待っていて、手元の全国紙を広げると、韓国で「漢字復活」の潮流があると報じる記事に目がとまった。
記事によると、韓国では、楽しみながら漢字を学べる小学校低学年向けの学習マンガ『魔法千字文』シリーズが大ヒットしている。ストーリーの合間に漢字の意味や書き順を教える解説のページが入り、1冊で約20字の漢字を学べるそのシリーズは、2003年11月以降18巻刊行され、累計1200万部売れたという。あまりの人気ぶりを見て、テレビアニメ化する動きも出てきたそうだ。
朴正煕(パクチョンヒ)政権時代の1970年に漢字廃止宣言が出され、ハングル一本化の道を突っ走ってきた韓国だったが、最近になって漢字復活の流れが出てきた。その原因として、漢字検定試験の結果が内申書に反映されることや、経済的に中国の存在感が高まったため韓国の一流企業の社員採用基準に漢字の習熟度を求められるようになったことや、儒教という伝統に回帰する社会的動きなどがあげられる。
この記事を読んで、漢字文化を大事にしてきた日本の賢明さが逆に印象付けられた。1泊2日の強行軍で北海道千歳の観光事情を取材するための旅行だったが、到着した日、出迎えてくれた社団法人千歳観光連盟の幹部たちから、地元の観光誘致活動についての努力をいろいろと紹介された。
そのうちの一つがウェディング観光誘致作戦だと聞いた時、顔には出さなかったが、リゾートウェディングといえば、沖縄や軽井沢なら納得するが、千歳にはそれほどウェディング観光誘致に有利な観光資源はないのではと思い、他人のやっていることをただ真似しているだけではないか、とひそかに考えた。
だが、幹部の次の言葉に驚かされた。
「私たちの地名である千歳は新婚カップルにとってとても縁起がいいのです」。