毎年、英国で開催される国際ガーデニング展・チェルシー・フラワーショー(エリザベス女王が総裁)にて、史上初の2006年から2008年の3年連続ゴールドメダル受賞の快挙を達成した石原和幸氏。今年も5月のチェルシー・フラワーショーに続いて7月のシンガポールガーデンフェスティバル、これらと並行して長崎のハウステンボスの再生、宮古島のプロデュースなど、休む暇なく日本全国、そして世界を駆け巡っている。これまでも何度か船井総研の「富裕層ビジネス研究会」で、石原氏とお話させて頂いたが、「緑が人を幸せにし、世界をも平和にする最も有効な手段」と言い切る石原氏の声には力がみなぎり、その言葉への不安、迷いは片鱗も見られない。石原氏に同氏の生き方と、ビジネス成功の秘訣を伺った。(聞き手/小林昇太郎 撮影/蛭間勇介)

本当に会いたい人には
直球で会いに行くことが大切

いしはら・かずゆき/1958年長崎市生まれ。大学卒業後、自動車販売会社に入社するも、趣味で生け花の本流「池坊」に入門。花の魅力に取り付かれ、29歳の時に花屋「風花」として独立。地元長崎で路上販売から花屋をスタートさせ、「花で感動伝説を作る男」として一躍有名に、二年でユニークな発想から始まった一畳花屋「風花」を30店舗まで拡大させる。また、24時間営業の5坪の花屋「風花」では、面積あたりの売上が日本一になる。35歳で庭づくりをはじめるものの、独立時のように「熱く」なれるものを見つけられず、多角化に走り、事業は上手くいかず、借金をかかえるはめに。起死回生を計り、2004年、英国の国際ガーデニングショー「チェルシー・フラワーショー」に初出展、シルバーギルトを受賞。2006年から2008年には、史上初となる3年連続ゴールドメダル受賞の快挙達成。チェルシー・フラワーショーを通し、「自分の作る庭が、世の中の為になぜ必要なのか?」を考えさせられ、「人を喜ばす」事に、自分自身の原点があったことを再確認する。以降、宮古島のデザインなど、緑の力で世界に貢献すべく、多方面で活躍中。著書には「世界一の庭師の仕事術」(2009年、WAVE出版)がある。

――今年の「チェルシー・フラワーショー」では、エリザベス女王とも握手され、海外のニュース番組では「エリザベス女王に慰められる男」として一躍有名にもなられましたが、過去3回ゴールドメダルを獲得された「チェルシー・フラワーショー」との出合いを教えてください。

 20代のときに会社を辞めて、花に人生を賭けようと思った。失敗した時、原点に戻り、「やっぱり、僕は花が好きだよなぁ」と改めて思った。それじゃあ「世界一って、誰が決めるの?」「エリちゃんじゃないか!」と思って、(英国の)エリザベス女王に40代の時に電話をしたのがきっかけ。

 当然、通じるとは思っていなかったけど、その時の行動をみんな見ているじゃないですか。電話は通じなかったけれど、その結果、英国王立園芸協会に出合い、「チェルシー・フラワーショー」に参加する事ができた。そして、今年はあのエリザベス女王が、「あなたは、お庭の魔術師ね。また来年もお待ちしております。」と握手してくれたんですよ。

日本の文化を大切にしながら、
「突き抜けていること」を徹底的に伸ばす

――作品を作られる際に、何か大切にしている事はありますか?

 僕は「日本の原風景」にこだわると決めています。そして、チェルシーでは、「日本という文化」を伝えていきたい。