ここからは、やや長めの視点で英国がEU離脱を選択した後の各市場の動向を考える。まず、為替相場では、ポンドがドルや円に対して売られる展開が想定される。注意したいのは、英国の離脱が欧州全体の政治・経済体制を後退させる恐れが高いことだ。

 英国がEUから離脱し、欧州全体での意見統一への懸念が高まれば、財政動向への懸念から大陸欧州の国債が売られるかもしれない。その場合、徐々にユーロ売りの圧力が高まり、懸念は欧州全域に広がりやすい。その結果、ユーロ圏と経済的つながりの強い中東欧、ロシアなどの通貨への売り圧力の高まりも懸念される。

EU離脱すれば
ロンドンの市場機能は低下

 株式市場では、英国内外で株価が軟調に推移するだろう。英国にとって最も重要なことは、EU離脱が経済の地盤沈下に直結する恐れがあることだ。端的に言えば、EUから離脱することで産業活動が大きく低下する懸念が高まりやすい。

 また、EU離脱が選択されれば、英国は自力で世界各国との通商交渉を進め、自由貿易協定や投資に関する協定を策定しなければならない。EUという大きな基盤がなくなった中で、英国がスムーズに各国との交渉を有利に進められるかは不透明だ。

 そのため、離脱決定後、ニューヨークなどと並ぶ世界有数の金融市場であるロンドンの市場機能の低下は避けられない。金融機関、一般企業が拠点をフランスやドイツに移す可能性が高い。

 金融セクターは英国のGDP(国内総生産)の10%超を生み出しており、影響は甚大だ。それが他の地域に波及するリスクにも注意が必要だ。それによって、英国の財政リスクが高まるだろう。中長期的にみれば英国債の格下げリスクが高まり、金利が上昇するシナリオもある。

各国はEU残留に懐疑的になり
EU崩壊につながる

 次にEUのレベルで、英国のEU離脱の影響を考える。最も重要なことは、ブレグジットが“EU崩壊の始まり”になる可能性だ。英国の離脱を発端に、EUに残留することへの懐疑的な見方が増え、欧州の統合ではなく、EUの崩壊が進みやすくなる。

 そうなると、EUの連携は弱体化し、経済力のある国が離脱し、南欧の重債務国など相対的に競争基盤の弱い国だけがEUに残ることも考えられる。それを延長すると、長期的にはユーロの存続すら困難になり、ギリシャなど財政が悪化した国は厳しい状況に直面する。