持病があっても入れるタイプの保険もあるが、通常タイプに比べると保険料は非常に割高で、給付金や保険金の受け取りにも厳しい制限がついている。

 反対に、肥満度を表すBMI(ボディーマス指数)から健康体だと認められた人、タバコを吸わない人(禁煙してから一定期間がたっている人)については、保険料を割り引く商品もある。

 疾病リスクに応じて保険料が決まる民間保険は、健康な人ほど保険料が安く、健康に不安のある人ほど保険料が高くなる。つまり、医療の必要性が高い高齢者や持病のある人ほど、高い保険料を支払わなければいけない構造だ。

 もちろん、お金のたくさんある富裕層ならば、持病があって保険料が割高でも加入することは可能だ。しかし、所得の低い人が疾病リスクに見合った割高な保険料を支払うのは難しく、保険に加入できない人を生み出すことになる。

 日本では、民間保険への加入は任意で、これがないからといって医療を受けられないわけではない。

 だが、民間保険で医療を受けることを選んだアメリカは、多くの無保険者を作り出してしまった。オバマケアの導入によって無保険者は減少したが、所得によって加入できる保険が異なり、受けられる医療に差があるのは相変わらずだ。いまだ誰もが必要な医療を平等に受けられるようにはなっていない。

「医療費を使わない人に現金給付をする」ということは、実質的には疾病リスクによって保険料に差をつける民間保険の手法を取り入れることになる。

 インセンティブの名のもとに、この手法がどんどん広がっていったら、これまで必要に応じて受けられていた平等消費型の日本の医療が、アメリカのような階層消費型に変容していく可能性も否定できないのだ。

予防や健康増進すれば
本当に医療費は減る?

 日本では、疾病リスクではなく、所得に応じた保険料を負担する強制加入の健康保険によって、病気のある人に過度な負担をかけることなく医療を利用できる社会を作り上げてきた。

 今回、厚生労働省が発表したガイドラインでは、この国民皆保険の存在意義に照らし合わせながら、次のようなことが留意点として上げられている。