パナマ文書とは、パナマの法律事務所であるモサック・フォンセカの膨大なデータが、南ドイツ新聞社に持ち込まれたもの。同新聞社がデータを分析するため、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)に協力を呼びかけ、世界76ヵ国、107の報道機関から約400人の新聞記者が参加して、1年前から調査、分析を進めている秘密文書である。日本からも共同通信と朝日新聞の記者が各1名ずつ参加して、分析作業は今も続いている。

 ファイル数にして1150万件に及ぶ膨大なデータには、過去40年間にわたる21万件のタックスヘイブンでの取引データが記録されている。その中には、ロシアのプーチン大統領をはじめ、英国のキャメロン首相ら現役の政治家や経済人、アスリート、芸能人など、世界中の著名人が含まれている。アイスランドのグンロイグソン首相が辞任に追い込まれるなど、パナマ文書の公表に伴う波紋も広がっている。

パナマ文書で暴き出された
合法的な「租税回避指南」の実態

 そもそも、タックスヘイブンとは何か。税金がかからないか、ほとんどかからない国や地域のことであり、一般に「租税回避地」と訳されている。登録された口座情報などを秘匿して、他国には開示しない「秘匿性」が利用する者にとっては大きな利点になっている。このため、法人であれ個人であれ、その区別なくタックスヘイブンに住所さえ登記すれば、誰にも知られずにその恩恵を享受できる仕組みである。

 各国に子会社を置く多国籍企業をはじめ、ヘッジファンドなど国際金融市場で活躍する投資会社の多くは、タックスヘイブンに本籍を置いて、法人税の節税やその回避に布石を打っている。個人にしても今や「資産や所得を海外に移せる」レベルの富裕層は「税金逃れ」のため、タックスヘイブンの積極的な利活用が常態化しつつある。

 ただ、情報の秘匿性を悪用すれば、法人、個人を問わず、誰もが租税回避のための資産隠しや所得隠しがいとも簡単にできるため、合法的に租税を回避、脱税することが可能で、乱用されないとも限らない。その意味で、各国の税務当局としては誠にありがた迷惑であり、見過ごすことができない抜け穴であるため、対策に頭を痛めており、手を拱いている。

 特に、タックスヘイブンが合法的な租税回避を指南し、ほう助するコンサルティング機能を備えているため、お手上げ状態である。当然のことながら、犯罪がらみや汚職がらみの資金、さらにはロンダリング狙いのアングラマネーなどの逃げ場としても利活用され、いわばダーティマネーの吹き溜まりとも言われている。