ご存じのとおり、SUBARUというブランドは北米でとても強く、コアなファンを持ち、非常に製品力が高く、つまり投資家から見ても非常に魅力的な投資先というイメージを持たれているブランドだ。

 ところが企業名がFuji Heavy Industries Ltd.というSUBARUをイメージしづらい別の名前のため、その意味で欧米の投資家の関心の取りこぼしが出てしまう。社名とブランド名が同じなら「あのSUBARUか。それなら投資ポートフォリオに入れよう」と考える投資家は一定量増え、理論的には業績と連動して個人投資家からの投資はもっと増えるはずだ。

 その観点で考えれば富士重工がSUBARUに社名変更をするのは正しいし、今回のように、100周年を記念してということではなく、もっと早く社名変更に踏み切ってもよかったぐらいメリットの方が大きいと考えられるのだ。

なぜ日産の社名は
「ダットサン」にならなかったか

 さて、日本の自動車業界にはよく似た別の事例があるので紹介しよう。

 日産の自動車はかつて北米市場ではダットサン(DATSUN)のブランド名で非常によく知られていた。「脱兎のように速く走る」という意味合いからも、英語で発音したときの語感からも、日産の製品を表す非常によい商品ブランド名だった。

 1970年代までは日産の自動車はアメリカでは社名は日産、ブランド名はダットサンと分かれていたのである。

 このねじれを解消しようと1981年に当時の社長が、海外でのブランド名を順次NISSANに統一していくことを発表した。

 当時、アメリカのコンサルタントが何人も私に対して同じことを言ってきたのでよく覚えているのだが、

「なぜブランド名をNISSANに変更するんだ?」

 と聞かれたものだ。それに対して私が、

「それが日産のグローバルストラテジーらしい」

 と答えると、

「だったらなぜ社名をDATSUNにしないんだ?」

 と、もっともな指摘を何度も受けたのだ。