そして、<該当者への支援の状況(複数回答)>についても、<わからない>が14件で最も多く、<医療機関等による医療や支援><行政機関等による支援>は、わずか1件ずつのみ。報告書では<これらのケースでは、いかなる支援も受けていないことも予想される>と指摘するなど、地域に潜在化して姿が見えなくなっている実態がわかる。

 最後に、<ひきこもり者への支援策として必要だと思われること(複数回答)>についても尋ねている。

 回答で最も多かったのは、<専門的な医療支援・カウンセリング等の充実>で20件。<支援・相談窓口の周知・PR>が17件で続いた。

「引きこもり」の約9割が男性と圧倒的な理由

 また、該当者の性別では、男性が14人と圧倒的に多く、女性は2人だけだった。その理由について、布田代表は「個々のケースを把握しているわけではありませんが…」としながらも、こう推測する。

「男性の引きこもりの方が外部から把握されやすいということもあるかもしれません。女性の場合は、実態は引きこもりでも「家事手伝い」と認識されているケースもあるかと思います。また、社会的な性別役割意識と現実の自分の姿との乖離がプレッシャーとなって、男性の方が引きこもりになってしまうということはあるのかもしれません」

 民生委員を通じての調査となると、「引きこもり」という状態をどう見るか、どうしても個々の認識の違いで左右されてしまう面は拭えないだろう。

 筆者は、他の被災地で、震災を機に引きこもった事例もいくつか見たり聞いたりしてきた。震災の影響について、どう考えるか、布田代表に聞いてみると、

「今回の調査では特に震災にかかわるような調査項目を入れていませんが、岩沼の多くの人は津波の影響を受けていません。個々のケースを見れば、直接・間接になんらかの影響を受けているものもあるのかもしれませんが、それはわかりません」

 とのことだった。

 岩沼市は、被災地の中でも、仮設住宅から復興公営住宅や集団移転先の1戸建てへの移行など、被災者と一体となった街づくり計画が、いち早く進んだ自治体として知られている。

 同市の社協によれば、避難所生活や仮設住宅、移転した住宅でも被災した集落単位で入って、元々のコミュニティが保たれていたことから、震災の影響で引きこもる人たちが少なかったのではないかとみている。

「市が委託しているスマイルサポートセンターの職員が毎日のように、昨年度までは仮設住宅、いまは集団移転先での訪問活動もされていて、サロンなどに声がけする工夫もしてきました」

 同市の社協では、こうして地域に引きこもる人たちが岩沼にも存在していることが明らかになったことを受け、今年度も、そんな本人たちにどうアプローチをしながら社会に出る工夫をして行けばいいのか、いまのうちからできることを行政や民間の団体などと一緒に考えていくための材料にしていきたいという。

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