尻たたき用「しゃもじ」の効用

 私の罰則には、尻たたきがありました。

 感情にかられて手をすぐに出してはいけないと思い、おみやげにもらった大きなしゃもじを柱に吊っておきます。

 1回目「してはいけません」、2回目「またしたわね」、3回目「今度したら、たたきます」、4回目「しゃもじを持ってきなさい」と宣言し、言うことを聞かなかったときに、容赦なく尻たたきをしました。

 このしゃもじは、長男が10歳になるまで柱に飾ってありました。

 小学生くらいになれば、同じ実力行使でも、帰宅時間が遅れた場合の罰則は外に立たせるほうがよいでしょう。

 夕食が夜食となり、すきっ腹を抱えなくてはなりませんから。痛さの罰則の効果は5歳くらいまでです。

久保田 競
(Kisou Kubota)
京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。

<競博士のひと言>

 積極的にしない行動(ノーゴー行動)には2種類あります。
 右側の前頭前野の46野が働いています。

 積極的にしない場合は認知的「ノーゴー行動」で、しなかったことによって報酬をもらうことで学習します。

 我慢して行動しないようにするのは、ストップ信号つきの「ノーゴー行動」で、これもしなかったことで報酬をもらい、学習します。

 してもらいたくない行動をやりそうになったら、「ゴー信号」のほかに、ノーゴーを示す「ストップ信号」を加えます。我慢して、やめなければならない情動的「ノーゴー行動」です。

 1歳くらいから始める「ストップ遊び」(『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』参照)は、情動的「ノーゴー行動」をしているわけです。