富裕層と関わりが深いプライベートバンク

 プライベートバンク(以下、PBという)は、日本では馴染みが薄いかも知れないが、ヨーロッパではその歴史は古い。

 一般の銀行(商業銀行)は、預金者からお金を集めて、事業者などに貸し付ける。双方とも金利が付され、この金利差が銀行の利益となる。PBは、事業者に貸し付けることはせず、顧客資産からPBが受け取る信託報酬や顧客への金融商品の斡旋により保険会社などから受け取るコミッションが利益の源泉となっている。

 PBという名前のとおり、顧客の状況に応じてカスタマイズされたサービスを提供するのがウリであるが、最低預入額は100万米ドル(上昇傾向にある)からとハードルが高い。

富裕層のすごい節税法

 生命保険を質権設定することを条件に、PBから融資を受けて生命保険契約を締結(日本では最高保障7億円が限度だが海外では高額保障可能)。

 顧客は少額の自己資金で生命保険を購入でき、預金から自己負担保険料を払った残りをファンド購入などに充てて、保険購入のために融資を受けた借入金利息をファンド運用益で返済するスキーム。

 保険契約者が死亡すると、保障額から融資金を差し引いた額が相続人に継承される。保険加入年齢や保険商品によりリターンは異なるが、保険部分だけに限れば相続税納税後の財産は、PB預入額の2倍以上となることがある。

 つまり、何もしないよりもPBの保険スキームを利用したほうが相続税を払った後でも財産が増えるという、「ありがたい」サービスなのである。借入金を活用したレバレッジ効果といわれる。債権の購入もレバレッジを効かせることができる。債権の信用取引のような?ものである。金持ちはさらなる金持ちに、貧乏人とは格差が広がるばかりである。

 まさに、評価減による旧来の節税手法に対して、財産を増やして継承するという未来型の相続対策といえる。ただし、保険会社の倒産や予定運用利率の下降などによる、「持出し」のリスクはある。