少子化でも脳が素直に発達した子に
(Kisou Kubota)京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
感情を抑えるのは、大人にも難しいことです。
難しいことは重々承知で言いますが、親よりもすぐれた子に育てたいなら、まずはお母さんが、「頭にきた」「キレた」などと口に出さないことです。
子どもだけに、我慢や辛抱を求めても、なかなか身につきません。
親も精神修養が必要です。
昔は、貧しくてきょうだいも多く、互いの交わりの中で辛抱を覚え、「今に見てろ」という根性もできました。
親のほうも家事に忙しく、「10人も産んだら、中にはおかしなのがひとりや2人いても仕方がない」と無責任なものでした。
豊かな家の総領の甚六(長子は大事に育てられ、弟妹よりもおっとりしたり、世間知らずであったりすること)より、貧乏な家から出世をするケースが多く、下克上などというのはざらでした。
それがよかったと言っているのではありませんが、核家族の中で甚六を育てないことです。
子どもが少なくても、脳が素直に発達した子、親よりもすぐれた脳を持つ子が育てばいいのです。
最近では少子化が問題になっていますが、環境に適応能力のあるすぐれた頭のいい子が育てば、少子化もそう心配したものではないかもしれません。
<競博士のひと言>
ウソをつくのは、本当のことや正しいことを間違って伝えることですが、本当だと思って伝える場合と、何かを隠して故意に意図して伝える場合があります。
前者はうっかりした間違いなので、気づいて訂正すればいいのですが、後者は意図してやっているので、前頭前野がよく働いています。この場合は、ウソをついたことを自覚させておかなければなりません。
もし成功すれば、何度も繰り返すようになります。子どもが後者のウソをついたときにやめさせるのは、親の価値観によります。
総領の甚六とは、ぼんやり育った長男をあざけることわざですが、少子化の現在、育て方を間違うと、ひとりっ子でもぼんやりした子、前頭前野の弱い子が育ってしまいますので注意しましょう。