「3」と「5」の奇数が
生活に“ケジメ”をつける
(Kisou Kubota)京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
そして、お母さんは、「早くできた」「早くする」など、時間と関連した言葉づかいの練習をして、子どもに話した5分の「5」という数字を忘れないことが大切です。
私は息子たちに、「3分で片づける」「もうすぐ3時」「5時になった」など、よく「3」と「5」を使うことにしていました。
「3」と「5」の奇数が、生活にケジメをつける、ほどよい時間だったからです。
お兄ちゃんよりも年下の弟は、早くから同じ言葉を聞くので、理解も早く、的確にとらえられます。
また、弟や妹のほうがおしゃまになります。
長子を育てるときの経験が次の子にも活かされて、それぞれの個性を見出せるようになります。
私は2人の息子に同じように働きかけ、それぞれとらえ方が違うものの、2人とも算数や数学に強い子に育ちました。
成人した後も、数学的論理を毛嫌いするタイプには決してなりませんでした。
<競博士のひと言>
作業をする際に、どのようにするか、時間配分を考え、ダンドリよくするのは前頭前野、時間配分はワーキングメモリーの担当です。
ダンドリ決めは計画そのもの。時間の基本単位である「1分」がどれくらいかを、肌感覚で子どもにわかるようにしておきましょう。
ここで紹介した「タイマー遊び」もそのひとつ。秒針の動きを見ながら声を出します。
1分の長さが感覚的にわかってきたら、ぜひ日常生活で使ってみてください。
たとえば、カップラーメンをつくる際には、3分待つ間に、子どもたちをどこかに行かせ、3分たったら戻ってきてもらう遊びもいいでしょう。
脳には、時間の長さの違いを理解する特別の中枢はありません。
記億、注意、感覚受容など、神経情報処理をしているところが、働き方に時間差があることから理解しているにすぎません。
そのため、時間の長さを理解することは大変難しいのです。
繰り返し、わかるようになるまで練習しなければなりません。