ちなみに1957年(昭和32年)に実施された調査では、日本人の平均体温は36.9度だった。今なら「微熱気味」と判断される37度程度が、昔は平温だったわけだ。一方現在の平均体温は36.1度。なんと60年あまりの間に、日本人の平均体温は約1度も下がったことになる。

「たった1度」と侮るなかれ。

 地球の平均気温が1度上がると、海面は2メートル上昇し、赤道に近い地域では米や麦などの穀物がとれにくくなる。

 人間の場合、体温が1度下がると代謝能力は12~20%、免疫効果は約30%低下する。「冷え症は万病のもと」といわれる所以もそこにある。

 日本人の平均体温が1度下がったということは、日本人全体の体温調節能力が低下し、「冷え症」にシフトしつつある兆候ともいえるのだ。

 一般的に、男性が冷房温度を低めに設定したがるのは、女性と比較して体脂肪が少なく、筋肉量が多いため、基本的に代謝が高いからだ。体内で熱を多く作るので体温も高めとなり、夏場のように暑い環境下では、効率的に熱を外に逃がすため、低めの気温のほうがありがたいのである。

 だがそれは、男性が女性より、体温調節機能が優れている…ということにはつながらない。

 筋肉は、活動によって体温を上昇させるので、男性は女性より、体温が上がりやすい。かたや体脂肪は、寒い時に体温を体外に逃がさないようにする保温機能と、暑い時に外気温を体内に伝わりにくくする遮温機能がある。ゆえに、体脂肪の割合が女性より低い男性は、体温が変化しやすい。

 つまり男性は女性に比べ、「暑がりで寒がり」なのである。熱中症になりやすいのも男性だ。

 冷房の効いた室内を、男性陣が快適に感じるのは、女性よりも厚着をしている上に暑がりだから。冷え症になる人が少ないのは、自覚が足りないか、比較的外回りの仕事が多いからだと考えられている。

 冷え症は決して、女性特有の病気ではないのである。