現在、がんの放射線治療は、検査から治療まで通院で完結するのがほとんどだ。まず、CTなどの画像検査によって、がんのある場所や広がり方を把握し、この画像をもとに治療計画が立てられる。使用する放射線治療器の種類などによっては、患者の体に合わせた固定具が作られることもあるが、おおむね検査から1週間後程度で治療が始まる。

 放射線治療は、1日あたり1.5~2グレイずつ、週5日を5~6週間かけて合計50~60グレイ照射していくのが一般的だ。この間は、土日を除いて毎日のように通院することになるが、通院の場合は治療を受けるたびに会計する。

 このときに役立つのが「限度額適用認定証」だ。高額療養費は、患者の所得によって5段階に分類されているが、健康保険証を見ただけでは、その患者がどの所得区分なのかは分からない。限度額適用認定証は、患者の所得区分を証明するもので、これを病院の窓口に提示しておくと、高額療養費の限度額以上は医療費の自己負担分を支払わなくてもよくなるのだ。

 最初のCT検査や固定具を作るときには、自己負担額は1~2万円かかり、実際に治療が始まると、毎日の照射費用は数千円ずつ支払うことになる。だが、その月にかかった医療費の合計が26万7000円(自己負担したお金がが8万100円)を超えると、その後は自己負担するのは医療費の1%になり、1回あたりの自己負担額は数百円でよくなる。

自分の所得区分を
調べて貯蓄の準備を

 このように、高額療養費は、所得水準に合わせて、家計に過度な負担を与えないように設計されているので、万一、病気やケガをして入院や手術をしてもある程度の貯蓄があれば賄える金額になっている。

 高額療養費は暦月単位(その月の1日から月末まで)で計算するので、治療が長引いて月をまたぐと、翌月もまた医療費が26万7000円を超えるまでは、かかった医療費の3割を自己負担しなければならない。だが、前述したように「多数回該当」の制度もあり、療養が長引いた場合は自己負担限度額が引き下げられ、1年間の自己負担額の合計はおおむね月収(総報酬月額)の2ヵ月分程度になるように設計されている。

 この他、入院すると食事療養費がかかったり、通院のための交通費などもかかったりするが、医療費の備えとしては月収の2ヵ月分の貯蓄をベースに、出来る範囲でプラスの貯蓄をしておけば1年程度の医療費は賄える計算になる。

 高額療養費の自己負担限度額がわかると、「医療費のためにどれくらい貯蓄しておけばいいか」もわかるので、まずは自分の所得区分を調べることからはじめてみよう。