仙台育英と大阪桐蔭、逆転劇の裏で走塁めぐりネット炎上写真はイメージです

 夏の甲子園大会はベスト4が決まった。

 一日の休養日の後、22日には準決勝、天理(奈良)-広陵(広島)、花咲徳栄(埼玉)-東海大菅生(西東京)が行われる。攻守ともハイレベルな4校が勝ち残り、残る3試合とも好勝負が期待できるが、これまでの戦いでも感動的なシーンは多々あった。

 たとえば逆転劇。2回戦では日本航空石川が木更津総合(千葉)に対し9回二死から2点差を逆転したし、3回戦では明豊(大分)が神村学園に対し延長12回二死から3点差をひっくり返してサヨナラ勝ちをした。

 だが、「高校野球はゲームセットのコールを聞くまで何が起こるか分らない」という言い伝えを現実に見せてくれ、多くの高校野球ファンを感動させたのは3回戦の仙台育英(宮城)-大阪桐蔭戦だろう。

最後まで諦めなかった
仙台育英、軌跡の逆転劇

 1-0と大阪桐蔭のリードで迎えた9回裏。仙台育英は2者が凡退したが勝負をあきらめなかった。次打者がセンター前にヒットを打ち盗塁。その次の打者は四球を選んで二死1・2塁になった。ここで一つ目のドラマが起きる。次打者はショートゴロ。ボールは一塁に送られ、誰もがゲームセットと思った。が、一塁手の足がベースから離れておりセーフ。よりによって最後1アウトを一塁手のベース踏み損ねで取れない(しかも百戦錬磨の大阪桐蔭の選手が)なんて普通では考えられないことであり、観戦していた人の心はざわついたはずだ。

 ただ、この時点ではまだ大阪桐蔭の方に分があると思って観ていた人は多いだろう。ここまで無失点できた柿木投手の球威は落ちていなかったし、仙台育英の次打者は守備で途中出場した選手だったからだ。が、打者はそんな観る者の思い込みを見事に覆した。インコースに来たストレートを思いきりよく振り抜くと、打球はグングン伸びてセンターの頭上を越えた。ほんの少しの差でゲームセットを逃れたワンプレーを含め、仙台育英は奇跡的ともいえる逆転サヨナラ勝利を収めたのだ。