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今回も引き続き、世界的に活躍している書家の伊藤潤一さん。ミラノ国際博覧会へ参加や、伊勢志摩サミットのディナー会場の演出、F1日本GP公式タイトルロゴデザイン担当など、世界でも活躍中ですが、書家としての第一歩は路上で書を書いて売るというところからでした。

「書家」という仕事は
究極のコミュニケーション

Yumi:書家としての活動はどんなことをされているんですか?

伊藤:そうですね、自分の作品を書くのはもちろんですが、いろいろなことをやっていますね。それこそ、F1のロゴをデザインしたり(笑)。最近では、神社仏閣に書を奉納したり、お祭りやイベントでコラボしてその場で書いたり…といった神事も多くなってきました。

Yumi:でも前回お話しいただいたように、最初は路上で、一対一で、人と向き合って言葉を書いていたんですよね。

伊藤:はい、週に3~4回、1年半、200日くらいはやっていたと思います。

Yumi :どんな人が来るんですか?

伊藤:それはもういろんな出会いがありました。会社のグチを言いに来るサラリーマンや、学校をさぼっているような不良っぽい男子高校生とか。

あとは恋愛相談をしてくる女子高生もいましたし、犬を連れてあるいている年配の女性とか、時間を持て余してそうなおじいちゃん、外国人もいました。

Yumi:その人たちに頼まれて、どんな文字を書くんですか?

伊藤:いちばん多い文字は「夢」でしたね。でも同じ夢って文字でも、それぞれ人によって夢は違うので、書く前にちょっと話すんです。それで「この人のそばにずっと置いてもらえる言葉を」と思って書いていました。

Yumi:その人に寄り添う言葉なんですね。

伊藤:はい。自分がその言葉を書いた時の完成度は6~7割なんです。それで、購入した人が持ち帰ってくれて、その作品をみて「癒された」とか「すごくいい」と感じてもらえたときに100%完成する、と思っています。だから、その人と共に生きる言葉を、と心を込めて書いていました。

Yumi:それは、もう究極のコミュニケーションですね。人見知りだったとは思えません(笑)

伊藤:やっぱり、自分からあいさつを重ねて「自己開示」を続けて訓練したのが効いてると思います。

Yumi:ちなみに御代はいくらだったんですか?

伊藤:書いてから決めてください、と言っていたので、さまざまです。高校生だったりすると100円とか200円だったり、酔っぱらったサラリーマンが5000円置いていくとか(笑)一番高かったのは2万円でしたね。

Yumi:すごい!

伊藤:その2万円を支払ってくれた人は、自分の本にも書いたんですけど、「君の作品を買うんやない、君の将来を買うんや」といってくれた年配の男性でした。僕のファンってどういうわけか、男性が多いんです。

Yumi:その彼はカッコイイですね。伊藤さんがこんなに活躍するアーティストになるとわかっていたのかも…。

伊藤潤一さん対談【2】<br />女子高生、サラリーマン、外国人に<br />頼まれて「書」を書くということ<br />
伊藤潤一さん対談【2】<br />女子高生、サラリーマン、外国人に<br />頼まれて「書」を書くということ<br />伊藤潤一
1986年生まれ、三重県出身。2007年3月、一人の書家との出逢いをきっかけに、筆と墨を使った表現活動を始める。ストリート時代を経て、現在では創作活動をはじめ、他ジャンルとのコラボレーション、ライブパフォーマンス、トークライブ、個展などカタチに捉われないスタイルで活動を展開。2013年からは活動の舞台を海外にも広げ、フランス、イタリア、スイス、NY、台湾などでも実績があり、中でも台湾では世界三大博物館のひとつ「國立故宮博物院」より、日本人で初めて国際正会員として認定される。2015年開催のイタリア・ミラノ国際博覧会へも参加、2016年には伊勢志摩サミットでの演出も手掛ける。2017年、F1日本GP公式タイトルロゴデザイン担当。和の精神、日本文化の探求を軸に、寺社仏閣への奉納を通し、世界に日本文化と思想を発信している。著書に『路上から世界へ』(リーブル出版)