この連載では、会計を英語で覚えるコツとプロの読み方を全5回にわたって紹介します。最終回は、中国Eコマース・ナンバーワンのAlibabaの決算書を見ていきます。中国の決算書は入手できるの? 入手できても中国語でしょ? そもそもアリババって何をやってる会社なの? という方のために、ステップを踏んで見ていきましょう。

まずは企業を想像しよう(Imagine the company, Alibaba)

 Alibabaと聞いて、まず何が思い浮かびますか?

 「開けゴマ!」と答えた方は、アラビアンナイトのファンの方でしょうか。Alibabaはネットビジネス、とくに中国事情に詳しい方でないとイメージしにくいかもしれません。上の質問に答えられなかった方は、まずはこのリンクから、Alibabaが日本で行っている事業のイメージをつかんでみることをお勧めします。

 もし皆さんが、日本でリアルなお店を開き、商品を中国から安く仕入れて販売したいと考えているならば、どこからスタートするでしょうか。少し前までは、ツテをたどって中国企業を紹介してもらうか、中国に行ってこれぞと思う商品を探し出すしか手はなかったものです。

 ところが日本にいながらにして、10万社以上の中国企業が提供する500万点以上の商品をチェックできる、これがAlibabaが日本で提供しているサービスです。まさに中国から世界への扉を「開けゴマ!」と開放するサイトです。

「在庫リスクを誰が負うのか?」が決算書の姿を決める

 アマゾンはそうだけど楽天はそうではないこと、イオンリテールはそうだけどイオンモールはそうではないこと、イトーヨーカ堂はそうだけどセブン-イレブンはそうではないこと。さて、共通点は何でしょうか?

 前者の企業グループ(アマゾン、イオンリテール、イトーヨーカ堂)は、自ら在庫リスクを負いながら商品を仕入れ、これを販売するという物販業です。これに対して、後者の企業グループ(楽天、イオンモール、セブン-イレブン)は、自ら在庫を仕入れることはしません。

 ネット上のスペースを貸すのが楽天、リアルなスペースを貸すのがイオンモール、そしてコンビニ運営のノウハウや看板を貸与するのがセブン-イレブンです。在庫リスクを負うのは、楽天やイオンモールに出店するテナントや、セブン-イレブンを開業するフランチャイズのオーナーです。よって、後者の企業グループの売上は、テナント料やロイヤルティ収入となります。