マンション建設予定地首都圏新築マンション発売戸数は前年同月比8.2%減だが都区部以外は大幅増で、契約率も68.5%と順調だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

不動産市場は減速したが
バブル崩壊は起きていない

 今年4月の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発令以降、不動産市場に大激変が起きた。インバウンド需要を見込んでいたホテル、飲食店などの商業系は自粛ムードで閑古鳥が鳴く日々が続いた。こうした中、民主党から自民党に政権交代した2012年12月以降、長らく続いてきた不動産市場の上昇基調にもブレーキがかかり、「バブル崩壊か?」といった声も各種メディアから聞こえた。

 しかし結論を言えば、そうしたことは一切起こっていない。理由は簡単で、1990年代やリーマン・ショック前のバブル崩壊とは異なり、今回は日米欧の同時金融緩和、とりわけ日米は無制限金融緩和を行うことで、金融システムが崩壊することを阻止したためだ。一時1万6000円台をつけた日経平均株価も現在は2万3000円台と、すっかりコロナ禍前の水準に戻っている。

 国土交通省が8月29日発表した7月1日時点の基準地価は、全国平均(全用途)の変動率が前年比マイナス0.6%と、2017年以来3年ぶりの下落。商業地はマイナス0.3%と5年ぶりに下落に転じ、昨年、28年ぶりに上昇した地方圏の商業地は再び下落に転じた。住宅地はマイナス0.7%と下落幅を拡大させている。

 以下、商業地と住宅地の状況について、詳しく見ていこう。