写真:執筆『文芸春秋』は、皇室の方々のご登場やご寄稿が多かったことで知られる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

文芸春秋に入社して2018年に退社するまで40年間。『週刊文春』『文芸春秋』編集長を務め、週刊誌報道の一線に身を置いてきた筆者が語る「あの事件の舞台裏」。今回は、文春と皇室のかかわりをご紹介します。(元週刊文春編集長、岐阜女子大学副学長 木俣正剛)

文芸春秋の復活は
「天皇陛下おおいに笑ふ」から

 月刊『文芸春秋』は、歴史上、重要な人々の多くの証言を肉声で残してきました。皇室の方々に直接登場していただいたのも、この雑誌の特徴です。

 戦後の文芸春秋の復活も「天皇陛下おおいに笑ふ」という座談会からでした。実は、この座談会は、徳川夢声(作家)、辰野隆(東大教授)、サトウハチロー(詩人)によるもので、天皇陛下に直接ご登場いただいたものではありませんが、3人が昭和天皇にお目にかかってバカ話をした話が沢山掲載されています。かつて現人神といわれた陛下が、ユーモアを交えた会話をなさること、「人間天皇」であることを大いにアピールした作品でした。

 私はこの過去コンテンツも再発掘すべきだと、『日本が震えた皇室の肉声』という増刊号をつくりました。過去の雑誌を見れば見るほど、大勢の皇室の方々にご登場いただいています。