コロナ禍で皆さんの営業は、どのように変化しましたか?「直接面会できない」「商品・サービスを見せられない(伝えられない)」「相手先の会社や個人の雰囲気・空気がつかめない」「直接相手を訪ねていくことで示せていた誠意が伝わらない」など、これまでの方法ではうまくいかず、悩んでいた時期もあるでしょう。しかし、その反面、営業成績が落ちるどころか、伸ばしている人がいることも承知のはず。何が違うのでしょうか。その違いは、すでに7年読み継がれている本書『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』で明かされています。そして、オンライン営業のスキルを加えてパワーアップしたのが、『[新版]「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』。本書よりいつの時代もどんな業種でも結果を残す営業スキルを伝授します。

できる営業マンは「ありがとう」を先に言わないPhoto: Adobe Stock

「何のために営業しているのか?」

 私は「売るのではなく、買ってもらう」の実現を目指すとともに、もう1つ大きなテーマがありました。「何のために営業しているのか?」です。

 あなたは「何のために営業しているのですか?」と聞かれたら何と答えるでしょうか?

 もちろん、「お客様のお役に立つため」ですよね。お客様の生活や人生が商品やサービスによって快適になる、便利になる、豊かになる、楽しくなるからこそ、おすすめしているのです。

 では、営業マンがお客様にお役に立つことができれば、お客様はどのように言われるでしょうか?

「いやぁー、いいことを教えてもらったよ。ありがとう!」
「そうか、そういうことだね。問題が解決できそうだよ。ありがとう!」
「これは便利だね。楽しく生活できそうだよ。ありがとう!」

 役立つとわかれば「ありがとう!」と、感謝の言葉がどんどん出てくるはずです。お客様に私どもの商品・サービスを提供して、よりよい生活へのお役立ちができる。そして喜ばれ、感謝を受ける。それこそが私たち営業マンの喜びです。

 でも、当時の私には、お客様のお役に立とうと思って営業に行っても、そのようにならなかったのです。

「いやぁー、ご理解いただき、ありがとうございます」
「必ず、役立てていただけますので。ありがとうございます」
「無理を言っていませんか。そうですか。本当に、ありがとうございます」

 お客様に採用していただきました。なのに、なぜ、私は「ありがとうございます」を連発してしまうのでしょうか。

 もちろん、お客様から商品の代金をいただきます。でも、その商品でよりよくなるのは、お客様。「むしろ、お客様のほうが、得するくらいだ。だから、お客様と営業マンの関係はフィフティフィフティだ」と、いくら言い聞かせても、契約時になれば、やっぱり、お客様に向かって「ありがとうございます」。もう、悲しいくらいです。疲れます。

 なぜ、私はこのようになってしまったのか? 私自身の中で、お客様にとって必ずお役に立つという実感が弱かったからです。

「お客様は商品・サービスのメリットを十分に感じてもらえた。そして、自分の欲求・ニーズ・課題を解決できるとわかってもらえた」と私自身が実感すれば、自信を持っておすすめできます。

 このときこそ、お客様から「いやぁー、いいことを教えてもらったよ。ありがとう!」と言っていただけるはずです。この状態になるには、どうすればいいのだろうと随分考えてきました。

 では、その秘訣とは何か?

 それは、お客様への「お役立ちへの純粋な動機」です。

「役立ちたい! 喜んでもらいたい! 商品・サービスを通して、貢献したい!」という気持ちです。

 お客様が採用しようが、採用しまいが関係ありません。「聞いてもらいたい、知ってもらいたい。情報だけでもお役に立てていただきたい!」というお客様への気持ちを育てることです。もちろん、面会前にその気持ちでお客様のところに向かうことは大事でしょう。ところが、もっと重要なのは、お客様を目の前にして、その気持ちをさらに高めることです。