2年前、筆者は、ゴルフ発祥の地とされるスコットランドのセントアンドリュースの地を訪れた。リンクスで開催されていた全英オープンの取材のためである。そのオールドコースは、夕闇に包まれる時刻になると、光と影のアンジュレーションによってこの世のものとは思えない美しい表情をみせる。この聖地で誕生したゴルフは、唯一、審判のいないスポーツでもある。当地では、小学生の道徳教育にも使われていた。このような素晴らしいスポーツが、なぜか日本では悪いイメージが付きまとう――。

 森喜朗元首相がハワイ沖での練習船「えひめ丸」の沈没事故に絡んで、職を辞した時もそうだった。ゴルフプレイを中断しなかったのは危機管理上問題があり、首相として不適格だという烙印を押されたのだ。その際も、なぜかメディアでは「ゴルフが悪い」という論調が主流になっていた。

 そのゴルフ場にまつわる疑惑によって、来週中にも国会では、防衛省の「天皇」と呼ばれた守屋武昌前次官が証人喚問に呼ばれる予定だ。特定業者とのラウンドを禁じている公務員倫理規定違反に基づくものだという。

 マスコミはまたしても「ゴルフ疑惑」と書きたてている。しかしゴルフ自体は何も悪くない。悪いのは、ゴルフというスポーツに「接待」という日本特有の慣習を持ち込み、その理念と精神を汚し続けてきた政財官の不埒なお歴々の方である。

 冒頭から横道にそれたが、以前から言っておきたことだったのであえて記した。

山田洋行が関わる
証人喚問は過去にもあった

 さて、その不埒なお歴々のひとりである守屋氏に「ゴルフ接待」を繰り返してきたのは航空・防衛専門会社の山田洋行である。1969年に設立された山田洋行だが、実は、その名前が国会の証人喚問で取りざたされるのは今回が初めてではない。