懸念は追試と合格者数の出し方に
先述した各私学協会の対応策は、学校が休校になるかどうかによって左右される。すでに荻生田光一文部科学相が表明しているように、今回の緊急事態宣言下では休校要請は行われない。仮に感染者が出ても、学校全体の休校ではなく、各学級単位での対応を基本としており、インフルエンザの対応策に近づいた。
では私立中高はどのように対応しようとしているのか。今後の情勢次第で変わるであろうが、1月7日昼時点での都内40校の対応策を見てみよう。このうち、多摩地区の学校が9校、高校だけの学校が3校、男子校2校、女子校14校となっている。
まず、登下校に関しては、平常通りとした学校が16校、時差・分散登校や下校時間の前倒しを行う学校が各10校となっている。残り4校は通学を取りやめる考えだ。
次に、授業については、平常通りとした学校が14校なのに対して、授業時間の短縮が21校と過半を占めた。これらの学校の中でも遠隔授業の準備をするとした学校が3校含まれている。残りは分散登校による対面授業の実施や、遠隔授業の実施となっている。1学期に経験済みとはいえ、できるだけ対面授業を行いたいという学校が多いようだ。
部活動に関しては、平常どおりという学校は2校にとどまり、活動停止が29校と過半を占めている。次いで、活動時間の短縮が9校である。これは授業の時短や下校時間の前倒しに見られるように、早く帰宅させることを前提に考えた結果といえそうだ。
中学入試で「追試」を行った経験のある学校ほぼないといっていい。ところが、新型コロナウイルスに罹患もしくは濃厚接触者に特定されて受験できなかった志願者に対して、追試の2月23日実施をいち早く表明した開成に続き、同様の措置を取る学校が増えている。
東京の学校では、世田谷学園が2月21日、三輪田学園が2月19日といった具合に、2月下旬に設定する動きが出ている。
さて、各校の懸念は、試験の分散や追試を実施した場合、合格者数を何人にしたらいいのかという点にある。大学はもとより、中高でも募集人員をあまり大きく超えて入学させると、私学助成金の見直しにつながるからだ。2021年入試については、定員超過に対して容認する姿勢が行政から示されているため、学校も受験生もその点は安心できそうである。