図2 開成の大問1。2021年入試では計算問題の小問が3つ並んでいた
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石田浩一(いしだ・こういち)
元開成中学校・高等学校専任教諭。現在、Z会東大進学教室などで直接指導に当たるとともに、Z会の教材作成や映像授業も担当。東大工学部卒・同大学院工学系研究科修了。

数え忘れに注意が必要な開成の問題

石田 図2の大問1には、3つの計算問題が並んでいます。(2)の問題を解いてみましょう。7ケタの数字を足して、9で割ったときの余りを求める問題ですが、計算しなくても見ただけで答えが出たという人はいますか。

 9の倍数の判定法を習いましたか? 各ケタの数を全部足して、それを9で割ったとき、割り切れたら9の倍数です。1234567の場合、各ケタの和は1+2+3+4+5+6+7という計算式で、28となります。各ケタの和が27のときは9の倍数ですから、この数は9の倍数足す1、つまり、9で割ったときの余りは1です。

 他の4つの数も、1から7の順番が入れ替わっているだけですから、いずれも余りは1になります。ですから、余り1になる数を5つ足すので、答えは5になります。

 ひたすら計算を始めてしまう子と考えてから計算する子は、こういうところで差が付きます。計算してからではなく、計算する前に、全体をよく見渡してから取りかかるようにしてください。

 次に(3)を見てみましょう。4人が転がした4個のサイコロの目の数をすべてかけたときに4の倍数は何通りあるのか。1296通りを全部書き出すのではたいへん。まず、全体を見渡してみるのが大切な姿勢です。この4個の中に4の目が入っていれば4の倍数になります。4の目が2個、3個、4個あっても、同じく4の倍数になりますね。この先をどう考えますか。

 4の倍数でないのはどういうときか、という考え方をしてみましょう。中学校では「余事象」といいます。まず思いつくのは、4個のサイコロの目がすべて奇数のとき。奇数を4つかけると答えは奇数になります。1個のサイコロの目には1、3、5と3つの奇数があるので、3×3×3×3=81通りがまず4の倍数にならない。他にはどうでしょう。

 目の1つが4以外の偶数である2か6のときに、4の倍数にならない例を考えてみると、例えば1×3×2×5のときは30で4の倍数にはならないですね。このように、1つが偶数の2か6で他が奇数のときがあります。さてその個数を、偶数は2か6の2つで、他は3つある奇数なので、2×3×3×3=54通り、と計算してもいいですか?

 実はこれでは間違いです。これは最初の1個が2か6の偶数だった場合の数です。他に、2個目、3個目、4個目の目が2か6の偶数という場合もあります。したがって、どこで2か6の目が出るかについて全部で4つのパターンがあるので、このときの場合の数は54×4=216通りになります。

 そこで、1296通りから、4個とも奇数の場合の81通りと、1個だけ2か6の偶数で他は奇数の場合の216通りを引くと、1296-(81+216)=999通りが、4の倍数になると分かります。

 この「積が4の倍数になる」場合の数の問題は、そのまま大学入試にも出ます。東大の入試問題でも類題が出ています(例えば2003年理系第5問)。サイコロを4回ではなくn回ふる,といった問題になりますが,先ほど出てきた「2と6の目が出る回がどこかというパターンがある」ことを忘れてしまうのが、生徒が間違うポイントであるのは同じです。