女子難関・上位校算数入試のクセを知る
横浜のフェリス女学院は、ほぼすべての問題に対して記述式の答案を作成せねばならず、問題の形式と難度に慣れるためにはきちんと対策を取る必要があります。出題傾向は、かなり男子校に近いと思います。
受験者数の多さでは群を抜いている豊島岡女子学園は、難しいとよく言われます。実際は、ものすごく得点しやすい簡単なものから、高レベルで入試のトピックとして取り上げられるような問題まで幅があります。作問した教員による問題解説動画がありますので、参考までにご覧ください。算数が満点なら合格すると思いますし、そういう受験生はたくさんいると考えられます。出題者が考えている以上に受験生のレベルが高いようにも思います。理科がとても難しいこともあるとは思いますが、2月2日入試であれば、算数で多少失敗しても他の教科での挽回は十分に可能です。
頌栄女子学院は、受験者平均点も安定しています。過去問をしっかり解くことができていれば攻略できているといえます。こちらも問題解説動画があります。この動画中に、式を立てることができれば、後は計算するだけという解説がありますが、その後の計算には高い計算力が要求されています。特に、答えがきれいな数値のものでない場合、受験生は本当にこれで正しいのか不安に駆られるかもしれません。自分ならこのような問題が出題されたとき、どのような判断をすべきかを考えながら、ご覧になるといいでしょう。
鴎友学園女子と吉祥女子は、いずれも素直で得点しやすい問題が出題されます。極端に簡単な問題はなく、中くらいの難度で安定しています。東京女子御三家の雙葉は、問題に難度差はあるものの、素直な出題傾向です。一方で、国語ではしっかりとした記述式の解答が要求されています。立教女学院にも同じような傾向があります。算数と国語でのバランスの取れた得点を意識した学習を進めていかなければなりません。
最後に、受験生の合否を分ける問題とはどのような問題なのか、という観点があります。正答率の低い問題がその例として挙がることも多いのですが、ここで注意しておきたいことがあります。それは、合格点を取るため、捨てるべき問題を見極められたかどうかということです。
難関校の中には、初めて見るような問題を出題したり、学校側が意図的に、途中で障害物のように難しい問題を置いたりすることがあります。これには、受験生の満点を阻止する意図と、最初から順に解いてきた受験生のペースを乱す意図があります。こうした問題にどのように向き合うのかは、過去問を解くときに立てる作戦が重要となります。
中には、レベル調整に失敗して正解率が低くなってしまう場合もあります。これくらいは解けるだろう、解いてほしいといった出題者からの期待が込められている場合です。いずれの場合も、正答率の低いこれらの問題を捨てる力があるか、本番の入試で受験生には問われることになります。