年内の受験生の過ごし方 

問題文と回答欄が一体化しており、考え方などの記入も求める鴎友学園女子(2022年)
問題文と解答欄が一体化しており、考え方などの記入も求める鴎友学園女子(2022年)
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 10月から12月初旬までの時期、何を目標に勉強すればいいのか。まず、各教科の受験者平均点を突破することです。とはいえ女子校の場合、教科ごとの得点状況を公開していない学校が意外とあります。その場合には、何を基準にすればよいのか、塾の先生に尋ねてください。

 次に、模試の結果が振るわず、過去問を解いても必要な点に届かないことがよくあります。これはまだ、本番直前総合演習などを受けていないので致し方ないことです。得点できずに落ち込んでいるのではなく、まずやるべきことは結果の振り返りです。どのように立ち回れば必要な点に届いたのか、その分析を塾の先生や保護者など大人の手を借りて行うことです。結果が出たらすぐに行うことが肝心です。

 10月からの優先順位を挙げておきましょう。まず、漢字や知識など、直接点数に結び付くものをしっかり復習することです。次に、苦手教科を受験者平均点に乗せられるよう克服しましょう。そして、最後の仕上げとして、入試本番に向けた得点力を高めるため、時間配分を考えながら不必要な問題を捨てる力と必要な問題に集中する力を養うことです。

 これは私の経験則ですが、算数の場合、文章題を得点源にするという意識を常に持っていてください。ある補助線が引けないと解けない図形問題や、ある視点がないと解けない整数問題などとは異なり、文章題は、問題不成立を発生させないために説明不足がないように記述されています。つまり、ヒントが満載だということです。ただ、問題文のどこにヒントや大切な条件が記されているかは分かりませんから、そこを整理して読み解く必要があります。

 これは私の著書でも触れましたが、長文の文章題を読み解くには“読む力”が必要です。ただそれは、国語で言うところの文章読解力ではありません。いくら国語ができても文章題が解けるわけではなく、ここで言う“読む力”とは、算数の文章題特有の“算数語”を理解する能力のことを指しています。

 これから、入試本番での判断力を身に付ける時期に入ってきます。その際、一番大事なことは、自分の気持ちのコントロールにあります。

答だけではなく、求め方なども記すスペースがたっぷり設けられたフェリス女学院(2022年)
答えだけではなく、求め方なども記すスペースがたっぷり設けられたフェリス女学院(2022年)
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