ベスト50で入れ替わった20校

 2021年はランク変動として三つの要因を想定した。これを元に、22年の状況を見よう。

 まず、大都市圏の大規模大学にかけられた定員厳格化の縛りは、当初予定されていた募集定員と同数という縛りは見送られ、21年同様1割増しを限度に、それを超えると補助金を原則カットというルールのままだった。

 21年は前年比で私立大受験者が12%余り減少するという未曽有の状況も見られたが、22年には前年並みを維持し、こちらも21年と同じ状況を保っている。

 2回目となった大学入学共通テストは、事前の予想通り、1回目よりも難化、とりわけ数学の平均点が大きく低下した。国公立難関大学を志望する受験生にとって共通テスト利用型入試を行っている私立大の多くは、改めて試験を受けなくても共通テストの得点で合否判断するため、必ずといっていいほど併願している。ここで合格を得て、国公立大の二次試験に臨む。慶應義塾大を除く13大学は、多かれ少なかれ、このタイプの入試を設定している。
 
 22年の「難関私立大学合格力」ランキングでは、21年に続きベスト50には関西圏から西宮市立西宮が、唯一33位でランクインしている。その他はすべてが首都圏1都3県の進学校によって占められた。市立西宮は、関西学院大235人(前年比+13人)、関西大184人(+8人)、同志社大153人(▲15人)、立命館大131人(▲31人)と、21年よりは減らしたとはいえ、関関同立で700人超の合格者を出した点が群を抜いている。「国公立100大学合格力」でも213位につけ、兵庫県内でも異彩を放っている。
 
 ベスト50のうち、21年と22年で入れ替わった10校ずつについて見ておこう。28位広尾学園(東京・港区)と40位東京都市大学等々力(東京・世田谷区)、48位高輪(東京・港区)の3校は、21年と20年にベスト100にも入っておらず、大躍進といっていい。21年100位だった50位神奈川大学附属(横浜市緑区)と同62位だった39位横浜緑ケ丘(横浜市中区)もこれに準じる存在だ。
 
 ランクインした学校のうち、「国公立100大学合格力」で多く見られた20年から22年へのV字回復型は、30位渋谷教育学園幕張(千葉市美浜区)、34位私立城北(東京・板橋区)、35位都立南多摩中等教育学校(八王子市)、37位豊島岡女子学園(東京・豊島区)、47位東京学芸大学附属(東京・世田谷区)となっている。
 
 22年にランクアウトした学校はどうか。昨年の順位で見ていくと、21位逗子開成(神奈川県逗子市)は73位に、23位都立桜修館中等教育学校(東京・世田谷区)は67位に、女子校の29位浦和明の星女子(さいたま市浦和区)と30位横浜共立学園(横浜市中区)はそれぞれ70位と60位になった。
 
 ここからはいずれも東京都内にあるが、42位の帝京大学(板橋区)と都立大泉(練馬区)は51位と139位に、45位都立戸山(新宿区)は131位、47位の国立校である筑波大学附属(文京区)は62位、いずれも男子校の47位私立武蔵(練馬区)と49位の駒場東邦(世田谷区)はそれぞれ106位と57位になった。難関校は、併願校数を減らすとランクが落ちやすい。
 
 21年にベスト50中8校と目立った公立中高一貫校は、新たに年々ランクを上げている都立南多摩中等教育学校が加わり、都立桜修館中等教育学校が抜けた。学校こそ入れ替わったものの、22年もやはり8校ある。この合格力ランキングでも、私立・国立と合わせると、中高一貫校の優位性は揺らいでいないようだ。