国際派とIB教育校
高島崚輔・芦屋市長が代表理事を務めるNPO法人留学フェローシップの理事でもあり、今回の新校長の中でも国際派の筆頭といえそうなのが、開智日本橋学園中学校の近藤健志新校長だろう。慶應義塾大から日本長期信用銀行に新卒で入り、米ダートマス大経営大学院でMBAを取得して同行ニューヨーク支店勤務、格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)や人材コンサルティング会社を経るなど華麗なビジネス界での経歴だが、40歳を前に教育界に転じた。
立ち上げにも参画した海陽学園中等教育学校の教員として寮のハウスマスターも経験、河合塾を経て2015年度に共学化して現校名になったタイミングで本校に加わっている。IB認定校で、全教員の3割を8カ国のバイリンガル教員が占めている。
同じく開智系列校である開智望中等教育学校(茨城県つくばみらい市)は今夏にもDP(Diploma Program)の認定取得予定で、2015年開校の付属の小学校から続く12年一貫教育(5・5・2制)のIB校となる。渡邉英樹新校長は、千葉県立小金高校進路指導主事など20年以上進路指導に当たった経験を持ち、県教育委員会の指導主事や県立四街道高校教頭を経て本校に転じた。開智系列では、24年度に同様のしつらえとなる(仮称)開智所沢小学校・中等教育学校の開校を予定している。
IB教育ではないものの、バイリンガリズムや第二言語研究の専門家で、西武文理大から転じたマルケス・ペドロ新校長が就任したのが西武学園文理中学・高等学校。ブラジル出身で、中高生時代は日本語学校に通い、サンパウロ大学総合哲学文学人文科学部日本語日本文学科卒。学部生時代に慶應義塾大、卒業後には文部科学省の国費留学生として早稲田大大学院日本語教育研究所に、という異色の経歴の新校長である。
創立者の一族が校長に就任した学校もある。横浜市港北区にある武相中学・高等学校の石野雅子新校長は、創立者である石野瑛を祖父に持つ。学校法人山口学院理事長を兼務する埼玉平成中学校・埼玉平成高等学校の山口直也新校長は、創立者の長男である。同じ学校法人の傘下にある国際情報経済専門学校と通信制の霞ヶ関高等学校の校長も兼任している。
この他にも、23年度から新校長に交代した学校はまだある。中野区にある実践学園中学・高等学校は大木広行新校長となり、三菱商事出身の内藤彰信前校長は理事長に就任した。八王子学園中学校・高等学校は齋藤智文新校長に、成田高等学校・付属中学校は鈴木隆英新校長となった。また、浦和実業学園中学校(中高一貫部)の岡田慎一新校長は、早大教育学部出身の国語科教員で、中学校開設準備に関与、中高一貫部教頭、高校副校長を経ての就任となった。
最後に、「真の平和を作り出す人を世に送り出すこと」を願い戦後設立されたキリスト教学校のアレセイア湘南中学高等学校に触れてみよう。小林直樹新校長は、「日本で一番小さな全寮制高校」キリスト教愛真高校(島根県)で教員となり、本校に転じて27年目となる。数学をメインに、理科、体育、コンピュータなど幅広い教科を担当してきた。同校は、学校法人平和学園の幼稚園・小学校から中高につながるグローバル教育カリキュラムに特色がある。