御三家を辞退して栄東を選ぶ理由
――90分以内という通学時間制限の学校が多い中、すさまじいですね。何がそんなに魅力になっているのでしょう。
田中 中学の新入生に聞いたことがあります。中には、毎年ほんの数名ではありますが、東京の男女御三家を辞退してうちに進学する生徒も少なからずいます。
というのも、保護者や生徒の中には、たとえ泥くさくとも学習の基礎基本をしっかり鍛えてもらいたいという要望も一部あるからでしょう。また、部活動やアクティブ・ラーニングに魅力を感じて本校を選んでくれる生徒もいると思います。
――生徒が先生方と共に学び伸びてきたというのはそういうことですね。
田中 本校の生徒たちはそうやって土台からコツコツと学び、高3になると、東大や医学部、早慶、旧帝大をはじめ、難関大の記述式問題に対応できるようになってきます。生徒と教員が共に一歩ずつ確実に歩を前へ進めた成果が、日々の努力の延長線上にようやく表れ始めます。
たとえカリスマ先生たちがいなくても、栄東は個性的な先生が多くて、その統合体として団結して指導を行っています。生徒たちがさまざまな個性を持っているように、先生もそれぞれに強みを持っている。多様性のある学校ということでしょうか。
多くの中学受験生は2月1日から始まる東京・神奈川の第一志望校に合わせて、栄東中学校を(あるクイズ研究部の生徒に言わせると)滑り止めの星、と位置付けて受験します。いろいろな中学校を受験するたびに力が発揮できるようになってきますので、栄東中の入試を首都圏の中学受験の皮切りとして、1月10日、第1回目の受験校として選んでもらっています。
――その他にも御三家から生徒がこの学校を選ぶ理由はありそうですか。
田中 まず校地が広く、のびのびと活動できることです。学校生活面では、部活動やアクティブ・ラーニング活動が盛んであること。また、基礎基本を徹底する教育で先生と生徒の距離が非常に近く、地頭力をさらに鍛える環境があること。あるいは、授業料が安いことや特待生制度があること、それに、私立中高で給食があること――などが挙げられるでしょうか。
兄弟・姉妹(兄妹・姉弟)で栄東に通学している生徒も多いのは、保護者の方々からもそういった点を評価していただいた一つの表れかと思っています。あと、トイレの数が多くてきれいだからって言う生徒もいますね(笑)。