基礎を徹底する教育で県外生も多数

田中 コース制を取り入れる前の栄東中学は明確な特徴のない学校でした。そこで、当時の佐藤栄太郎理事長の指導で中学と高校の教職員の垣根を一気に取り除く意識改革を行いました。それまでは、中学は中学の教員、高校は高校の教員と区分された人事配置でしたが、中高相互に、各教科・各領域を横断的・縦断的に乗り入れるようにしました。

――それはまたずいぶん大胆なことを。

田中 私たち教員にも、さまざまな個性があります。ただ一つだけ、以前は、佐藤理事長が教育方針を決定し遂行しようとしたら、学園各校の校長や教頭が全教員と一丸となって、皆で一斉に協力して乗り切ってきました。そのような風土がいまでも残っています。

 また、生徒にとっては、一見つまらないこと、無駄だと思えることも後々役に立つことも多くあります。そういったことも含め、考えるための基礎基本を徹底的に身に付けてもらえるよう、学習事項の確認、定着を中1の段階から飽くことなく毎日毎日徹底的に行ってきました。

 先生方は、授業はもちろん、生徒個人の学習指導まで熱心に行っています。放課後や休み時間の質問対応から、答案の添削指導まで付き合います。こういう進路に進みたいという生徒の希望がまずあって、それを実現させるためにはどうしたらいいか、先生方も必死に勉強しています。だから生徒と一緒に先生方も伸びてきたということでしょう。このように、生徒と教員の距離が近いのも本校の特徴の一つです。

――面倒見の良い学校ですからね。

田中 中学の段階から、生徒には学習の基礎力を徹底的につけてもらいたいと思っています。中学校の3年間で学力の基礎、基本は決まると考えています。大学入学共通テストでは1点でも満点に近づけられるよう頑張ろうと。それが私たちの合言葉で、一つの目標のために先生方も頑張っています。それはこの学校の教育理念である「今日学べ(こんにちまなべ)」そのものです。今日学んだことは今日定着させ、明日に残さない。

――ところで、生徒さんたちはどこから通っていらっしゃるのですか。

田中 埼玉在住の生徒は全体の半分ほどです。埼玉県のみならず、東京をはじめ関東各県から毎朝通ってきます。遠いところでは神奈川の辻堂や小田原、茨城の鉾田、栃木の那須塩原や福島の福島市からという生徒もいます。活発に活動を行っているクイズ研究部、理科研究部、チアダンス部、鉄道研究部、水泳部、アーチェリー部、コーラス部、演劇同好会など、部活動を本命に本校を選んだ生徒も多くいます。部活動に参加するため始発電車や新幹線で通学している生徒もいます。