東大合格者増の原動力
――東大へ見学にも行かれましたか。
飯田 それは、もちろんです。年に何回も行きました(笑)。私が学年部長の時には、受け持っていた学年を四つに分けて、年に4回行ったこともありました。学園祭やオープンキャンパスなど、どのタイミングで行くかは子どもたちに選ばせて。
いまはそんなことはありませんが、10年前には「絶対行かなあかんの?」と面白くなさそうな感じの生徒もいました。関西から出たがらない子どもたちも多くいましたし、親御さんも離したがらない方も多くいましたから。
――東京に出るとおカネもかかりますしね。ところで、合格者を増やす作戦みたいなものはありましたか。合格者を増やしている学校を見ると、定員の多い理科I類を狙う傾向があります。
飯田 基本的には子どもたちが受けたいようにしています。
――関西の私立進学校というと、ガリガリの理系で、しかも医学部志望者が多いというイメージが定着しているようにも思えますが。
飯田 うちは文系の子どもたちが多くて、ちょうど半々くらいの学年もありました。
――それは珍しいですね。
飯田 中1の頃には、毎年結構な数の医学部志望者がいます。6年間、「なんのためにその大学に行くのか」と、いろいろな先生がいろいろな話を子どもたちとしていく中で、医学部ではなく他の進路に切り替えていく子どももいます。
――ここ5年間の東大・京大の進学実績(図1)を見て、中学受験生の本校へのまなざしも変わりましたか。
飯田 それはもう、全然違うものに変わっていますね。中高一貫の中学部は男子約180人、女子約40人を募集していますが、「どうしても入りたい!」と思ってくれている受験生は確実に増えています。
本校会場の入試は、10年ほど前から関西解禁2日目の午後ですので、初日と2日目午前に灘を受けた男子の併願先にもなっています。
女子は本校を第一志望にしてくれている受験生がほとんどで、同じ入試問題でも、少数精鋭の女子の方が平均点も合格最低点も高く、勉強の上でもリーダー的な存在になっています。しかし22年入試では、その男女の合格最低点の差が大きく縮まりました。これも本校への思いが強くなってきた証しだと思います。
――東大・京大合格者数に占める女子の割合を見ても、20年からぐっと増えていますね。
飯田 女子中等部卒業生の4割程度は、東大か京大に合格しています。
――それはすごいことです。首都圏の中高一貫校でも聞いたことがありません。