井手ゆきえ
糖尿病患者の脚切断リスク、非糖尿病者の10倍にも
糖尿病の合併症では腎不全や失明が思い浮かぶが、脚の切断率が約10倍に跳ね上がることは意外に知られていない。奈良県立医科大学の研究グループは、国内の診療報酬明細書(レセプト)データを集積した「NDB」から、2013年4月~18年3月の5年間に初めて脚を切断した患者のデータを抽出。糖尿病の有無によるリスクを比較した。

「中年で代謝低下」は都市伝説!?もう中年太りの言い訳にはできない
代謝が落ちているから多少太っても仕方がない――は中年の常とう句。ところが中年=代謝の低下は都市伝説らしい。国立医薬基盤・健康・栄養研究所、筑波大学などが協力した世界29カ国の共同研究の報告から。

子どものメンタルヘルスをコロナが直撃、世界各国で危機的な状況
コロナ禍が子どもたちの心の健康を直撃している。カナダ・カルガリー大学の研究者らは、2020年1月~21年2月16日に東アジア、欧州、北米で報告された青少年(18歳以下)のメンタルヘルスに関する29件の研究データを集積。合計8万0879人(平均年齢13.0歳、女性52.7%)分を統合解析した。

SNSのがん情報の3分の1はフェイク、米ユタ大の調査より
コロナ禍は医療を巡る誤情報の多さを改めてあぶり出した。緊急事態に限らず、誤情報の犠牲になるのは、いつも患者本人だ。がん医療も例外ではない。米ユタ大学の研究グループは、2018年1月~19年12月の間に主要なSNSに投稿された乳がん、前立腺がん、大腸がん、肺がんの記事について、「いいね!」等のエンゲージメント率を評価。おのおの上位50件を洗い出し、専門医が内容を精査した。

炎症性腸疾患と食事の関係、加糖飲料などの「超」加工食よりも植物性食品を
潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される炎症性腸疾患(IBD)は、自己免疫疾患の一つで下痢や腹痛、血便などが生じる。欧米に多い病気だが、今世紀に入りアジア諸国で増加中だ。

日本人と「座りっぱなし」リスク、とにかく小まめに動くこと!
日本人は平日平均で6.25時間と世界一「座りっぱなし」の国民だ。リモートワークの普及で拍車がかかっている。京都府立医科大学の研究グループは、日本多施設共同コホート研究(J-MICC研究)に参加した地域住民(年齢35~69歳、およそ10万人)のうち、6万4456人(男性2万9022人)を平均7.7年間追跡。脂質異常症、高血圧、糖尿病の三つの生活習慣病の有無と、余暇時間の運動量で、座位時間と死亡リスクの関係がどう変化するかを検討した。

「21世紀型頭痛」10~40代で増加中、青魚を食べて改善を
ストレス、睡眠不足に不健康な食習慣、加えてデジタル過剰がもたらす姿勢の悪さと、現代人の生活様式は頭痛リスクが満載だ。ついに「21世紀型頭痛」という名も生まれた。症状はズキンズキンと「脈が打つような」痛みが数時間~72時間ほど持続し、ときに吐き気や臭覚・視覚過敏を伴う「片頭痛」や、頭の周りと後頭部~首にかけて締め付けられるような痛みが生じる「緊張型頭痛」などで、今の生活様式で育った10代から50歳未満で患者が増加している。

コロナ後遺症「3割が半年後も症状が持続」、軽症例や若年層でも油断は禁物
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症の実態が明らかになってきた。日本国内では、2020年1月~21年2月にCOVID-19で入院した522人を調査した結果、退院時に倦怠感などの自覚症状を認めた人の3割で診断から半年がたった時点でも、症状が持続していたことが判明。

しゃっくりを止める科学的方法、「柿のへたの煎じ薬」「ストロー」
たかがしゃっくり、されどしゃっくり。鼻や喉への刺激で横隔神経と迷走神経を介して横隔膜のけいれんと喉周辺の収縮が生じ、不快感や、ひどいときは睡眠に支障が出る。

10代への新型コロナワクチン接種、気になる副反応は?
6月1日、ファイザー/ビオンテック社の新型コロナウイルスワクチンの接種対象年齢が12歳以上に引き下げられた。同16日に日本小児科学会が発表した声明では、子どもを感染から守るには、まず教師や保育士、小児科医など子どもたちと関わる大人のワクチン接種が重要だとしたうえで、「12歳以上の健康な子どもたちへのワクチン接種は意義がある」としている。

透析患者の余命に直結する「適度な運動」の重要性
日本では、およそ34万人の透析患者のうち97%が透析施設で週3~4回×4~6時間の「血液透析」を受けている。透析導入直前は腎機能の低下で思うように身体を動かせず、筋力や持久力が衰え、透析導入後も歩行や日常生活に支障が出やすい。しかも身体活動量の低下は、余命に直結することがわかってきた。

スマートバンド・スマートウォッチ活用法、健康管理がここまでできる!
健康管理アイテムとして人気のスマートバンド。緊張する診察室で1回こっきりの検査を受けるより「通常運転」の健康状態を把握しやすい。平時との比較で異常の早期発見が期待できるため、臨床応用を目指した研究が進んでいる。米スタンフォード大学の研究グループの報告によると、スマートバンドで測る「心拍数」や「体温」「運動量」のデータは、おなじみの血液検査の結果と少なからず相関するようだ。

「Zoom疲れ」4つの原因と解決策、米スタンフォード大の研究より
コロナ禍で定着したリモートワークで「Web会議疲労」、いわゆる「Zoom疲れ」が懸念されている。米スタンフォード大学の研究グループは、Web会議に特有の疲労感の原因を分析。同時に解決方法を提案している。

心不全が40代50代に増加中、予防には早めの心臓ケア開始を
先月10日、循環器病に関わる新たな団体として「日本循環器協会」が発足した。近い将来の「心不全パンデミック」に備え、予防啓発に力を入れる。心不全は高齢者の病気と思われがちだが、近年は原因疾患の高血圧症や2型糖尿病が増加し、40代、50代でも増えている。

高齢者を対象としたワクチン接種が進んでいる。「予定」では、一般成人への接種も夏には始まる。ここまでいろいろな情報が錯綜(さくそう)し、接種に不安を感じているご本人やご家族も多いだろう。医療者として一足先にファイザー/ビオンテック製のmRNAワクチン接種を済ませ「私の体験談から、事前に『こういうもの』というイメージを持っていただければ」と取材に快く応じてくれた保険調剤薬剤師の大森比奈子さん(仮名)にお話をうかがった。

速筋の筋力アップには「葉物野菜」が効く、豪州の調査より
筋力アップに効く栄養素というと、タンパク質やプロテインというキーワードが思い浮かぶが、もう一つ「硝酸塩」も忘れてはいけない。硝酸塩は緑の濃い葉物野菜に含まれる成分だ。動物実験レベルでは、硝酸塩水を与えると瞬発力を発揮する「速筋線維(速筋)」の収縮力が強化されることがわかっている。

歯周病は認知症など全身疾患を誘発、この自覚症状があれば受診を!
毎年6月4~10日は「歯と口の健康週間」だ。最近は乳幼児からの歯磨き習慣が定着し、子どもの虫歯は減少。2018年の歯科疾患実態調査によると、虫歯がある12歳児の割合は1993年の87%から10%へ激減している。ところが、25~85歳未満の成人では8割以上が、35~55歳未満では、ほぼ100%が虫歯持ちだ。また、歯周病の自覚症状がある人の割合は、25~65歳未満のおよそ15%だった。

毎年5月31日は、 WHO(世界保健機関)が制定した世界禁煙デーだ。例年、「たばこ業界から次世代を護れ」「たばこと肺の健康」など婉曲なテーマが掲げられるが、今年はズバリ、「Commit to quit(禁煙に取り組もう)」だ。喫煙がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)重症化/死亡リスクであることが明確になり、遠回しの表現では手ぬるいと感じたのだろうか。「COVID-19のパンデミックを機に、数百万人の喫煙者が禁煙したいと言っています。今こそ誓約書にサインして、今日から禁煙しましょう」とのサブメッセージが続いている。

子どものブルーライトカット眼鏡に、眼科関連6団体が「慎重意見」
就学前からデジタルツールを使う機会が増え、子どもにブルーライト(青色光)カット眼鏡を勧められるようになった。しかし先月、日本眼科学会など眼科関連6団体が「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を出した。

睡眠時間「6時間以下」で認知症リスク上昇、特に中年期が影響?
認知症と睡眠時間の長短に注目した調査は幾つかあるが、追跡期間が10年足らずなど、20年以上をかけて進行する疾患との関連を見いだすには、物足りないものが多かった。しかし先日、英国のホワイトホール(日本の霞が関に相当する官庁街)に勤務する公務員をおよそ25年間追跡した大規模調査の結果が報告された。
