井手ゆきえ
“善玉”コレステロールは「高ければ良い」というものではない
医療の現場ではHDLコレステロール(HDL-C)に対し「善玉」という説明をしなくなっている。HDL-C値が高すぎると、死亡リスクが上昇するとわかってきたからだ。

「朝の運動」でお腹の脂肪と血圧が減少、ただし女性に限る?
運動にも最適な時間帯があるようだ。しかも性差つきで。米スキッドモア・カレッジの研究者は、30人の女性(平均体格指数24、平均年齢42歳)と26人の男性(同25.5、同45歳)を、06~08時に運動する群(朝活群)と、18時半~20時半に運動する群(夕活群)とに割り付け、コーチ指導の下、同大で開発した運動と食事のプログラムを12週間実行した。

若年者も普通体重がお勧め、BMI22以上で乳がんリスク低下
肥満は閉経後乳がんのリスクだが、閉経前の若年層は痩せていたほうが乳がんになりやすい。ただし、この“常識”は欧米のデータから導かれたもので、元々の体格が違う日本人にも当てはまるかは曖昧だった。

血圧を抑える食べ方、「何時に」どの栄養を摂る?
最近の食事療法では「何をどれだけ」食べるかに加えて、「いつ」食べるかを考慮する時間栄養学が注目されている。一般にも知られているのは1日の食事を日中の12時間以内に済ませ、毎日一定の絶食時間を設ける方法だろう。持って生まれた体内時計に沿って食事をすることで、代謝リズムが安定し、体重の低下や血糖値の改善が期待できる。栄養素ごとに摂取タイミングを調べる研究も行われている。

パソコン作業の疲れ目には「オメガ3系脂肪酸」、豪メルボルン大の研究より
パソコンと向き合っているうちに眼の充血や乾き、痛みに悩まされるVDT症候群。予防目的でモニターから放射されるブルーライトをカットする眼鏡をかけたり、目に良いとされるサプリメント(サプリ)を飲んでいる人も多いだろう。果たして効果は証明されているのだろうか。

糖尿病予防に「ビタミンD」は効果あり?産業医科大の研究より
近年、ビタミンDが2型糖尿病(2DM)の発症を予防する可能性が指摘されている。産業医科大学の研究グループは成人の「糖尿病予備群」に対し、骨粗しょう症の治療に使われている活性型ビタミンD製剤の2DM発症予防効果を検討した。

コロナの発症後、「血栓・出血」に注意すべき期間はどれくらい?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、血管内で血液が“凝固”する「静脈血栓塞栓症(VTE)」リスクを上昇させるが、いつまで高リスク状態が続くのだろう。

食物繊維は「摂り過ぎ」に注意、肝機能に悪影響も?
腸内細菌叢との関連で注目される食物繊維。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生活習慣病予防のための目標量として18~64歳の男性で1日21g以上、女性は18g以上を推奨している。目標量を満たすには豆類、キノコ類、海藻類のほか、少なくとも1食は玄米ご飯や全粒パンを食べるといい。さて、一口に食物繊維といっても水溶性のペクチンや非水溶性のセルロース、消化されにくいデキストリンなど多種多様だ。どうやら、健康効果にも差があることがわかってきた。

アキレス腱断裂時の治療法、「手術vs装具固定」どちらがいい?
中高年のスポーツ外傷が増えている。膝のけがと並び、多いのはアキレス腱断裂だ。アキレス腱はふくらはぎから踵へ繋がる人体で最も太い腱を指す。腱が切れる音は衝撃的だが、意外に痛みは小さい。受傷後、時間がたてば足を引きずりながらも歩ける。ただ、つま先立ちはできない。

コロナ発症後、「血栓・出血」にはいつごろまで注意すればいいか
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、血管内で血液が“凝固”する「静脈血栓塞栓症(VTE)」リスクを上昇させるが、いつまで高リスク状態が続くのだろう。スウェーデン・ウメオ大学の研究グループは、公衆衛生庁の感染症監視システムを使い、2020年2月1日から21年5月25日の期間に新型コロナウイルス陽性例(初発のみ)100万人超を特定。性別や年齢、居住地がマッチした400万人超の陰性例とVTEリスクを比較している。

歩いて応援!「パ・リーグウォーク」で健康づくりを
運動不足の解消にはウオーキングが手っ取り早い。最近は歩数でポイントをためる「ポイ活」連動アプリや、歩きながらミッションをクリアするゲーム系のアプリが選び放題で、モチベーションを保ちやすくなった。

40歳以降のアルコール依存症は、「前頭側頭型認知症」の初期症状かも?
アルコール依存症(アルコール使用障害:AUD)は、全てのタイプの認知症リスクを3.3倍に上昇させる。米マウントサイナイ医科大学の研究グループは、社会性が欠如し、抑制が利かなくなる「前頭側頭型認知症」、記憶障害や見当識障害が中心の「アルツハイマー型認知症」、言葉がすぐ出てこない、あるいは短い文書を復唱できない「意味変形型原発性進行性失語症」の3タイプの認知症について、AUDとの関係を調べている。

コロナ流行中に「メタボ脂肪肝」が増加、宅飲み・1食抜きが影響か
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)禍で“メタボ脂肪肝”リスクが上昇している。メタボ脂肪肝――。正しくは代謝異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)という。アルコール性肝疾患や、肝炎ウイルス感染による肝疾患ばかりが注目され、代謝異常による肝疾患を見逃しかねない反省から生まれた疾患概念だ。

起立性低血圧の対処法、脚交差と膝の上下運動で
寝起きや座った姿勢から起立した数分後に、立ちくらみや吐き気に襲われる「起立性低血圧(OH)」。血流が重力に引っ張られて下半身へ集まり、一過性に脳血流が不足して生じる。典型的には起床後の2、3分以内に生じるが、数十秒以内に上の血圧が40mmHg以上、下の血圧が20mmHg以上も下がる場合を「初期起立性低血圧」という。

コロナが重症化しやすい子どもは?基礎疾患の有無と年齢で違い
幼稚園や保育園、小中学校など新たに始まる集団生活に不安を感じる親御さんも多いだろう。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者数が高止まりしている今はなおさらだ。子どもの重症化リスクは高齢者より低いとはいえ、ゼロというわけではない。

低炭水化物食とがんの予防や進行の関係は?たんぱく質・脂肪の摂取源で違い
低炭水化物食は、がんの予防や進行抑制に効くか否か。現時点で明快な答えはない。賛成派の主張は、低炭水化物食で、がん細胞のエネルギー源となる糖質を枯渇させて「兵糧攻めにする」というもの。懐疑派は低炭水化物食でがんの縮小を認めたのは動物実験やサンプル数が小さい試験であり「はっきりしたことは言えない」と慎重な姿勢だ。

抗がん剤治療中のリハビリで腫瘍の縮小率が上昇、英国の研究より
リハビリテーション(リハビリ)は術後の機能回復訓練と思われているが、近年は回復のための体力を事前に養う「術前リハ」が行われ始めている。たとえば、がんの手術前に術前リハを行うと術後の合併症が減り回復が早まる効果が期待できる。

たっぷり眠るだけで痩せる!米シカゴ大学の研究より
眠るだけで痩せます――。怪しげなダイエット本のようだが、まともな試験の報告。睡眠不足は過食や消費エネルギーの低下を招き、肥満につながることが知られている。ならば、十分に眠れば体重は減るだろうか。米シカゴ大学の研究チームがこの素朴な疑問を追究している。

#2
認知症の発症を確実に防ぐ方法はない。だが、世界の専門家がこれまでのエビデンスを調査分析した結果、リスクを減らし予防できる可能性が見えてきた。では何をすればいいのか。エビデンスが示す○×判定をご紹介しよう。

#1
家族も本人も認知症になったことを受け入れられない発症早期、症状が進み失禁やせん妄、徘徊への対応に振り回される中期……。介護する家族はじわじわと追い詰められ、逃げ場をなくす。介護で落とし穴にはまらないためのヒントはあるのか。現場をよく知るケアマネジャーと介護当事者に本音を聞いた。
