枝久保達也
インフラ産業の中でも労働集約型といわれる鉄道事業。若い世代の人口減や大量採用だった国鉄時代入社組の退職を受けて、あの手この手での省力化を進めている。今や、東京圏のそれなりの規模の駅でも、券売機のネットワーク化などを進め、早朝深夜は駅員不在で営業するケースが増えている。

台風15号に続き、東日本に大きな被害をもたらした台風19号。しかし今回、鉄道会社の計画運休の取り組みは、これまでになく成功したといえる。鉄道各社のアナウンスはおおむね適切だったし、台風15号で1万3000人もの旅客が孤立した成田空港も、台風19号では大きな混乱を回避できた。成功の要因はどこにあったのだろうか?

10月14日は「鉄道の日」。なぜなら1872年のこの日、日本初の鉄道が開通したからだ。今でこそ超過密ダイヤでも高い安全性を誇る日本の鉄道だが、当時を振り返ってみると、意外にも「時間にルーズ」な明治時代の日本人の姿が見えてくる。

2019年度も折り返し地点を過ぎた。鉄道業界では例年、上半期に準備を進め、下半期にサービス開始というパターンが多い。そこで、2019年度下半期に予定されている延伸サービスや駅の大規模工事、注目のダイヤ改正や駅名改称、さらにサービス休止などをまとめてみた。

読売新聞などが報じた、JR東日本の「ワンマン運転拡大」方針。JR東は将来、運転士を乗せない「ドライバレス運転」も視野に入れているが、通常運行時はともかく、非常時には大丈夫なのか、という声もある。乗務員の役割と自動化について、考えてみよう。

地下鉄銀座線が現在の運行形態になって80年。日本初の地下鉄が東京に誕生したのは、2つの世界大戦や関東大震災が勃発した、まさに混乱相次ぐ時代であった。そして当時を振り返ると、東京になぜ「営団」と「都営」という2つの鉄道事業者が存在することになったのかが見えてくる。

トラック運転手1人が死亡した京急電鉄の踏切事故。原因がトラックの踏切内での立ち往生にあるのは間違いないが、最新の安全対策を構築していれば、本来防げるはずの事故である。京急の踏切安全対策の現状と限界を解説する。

首都圏を直撃した台風15号。首都圏のJRと私鉄は初めて、足並みを揃えて計画運休に踏み切った。しかし、運転再開を巡っては駅に長蛇の列ができるなど、大混雑が起きた。計画運休は確かに有効な取り組みだが、「運転再開」が課題なのだ。

8月29日、横浜市営地下鉄ブルーラインで起きた脱線衝突事故は、運転士の居眠りが原因だった。横浜市営地下鉄だけでなく、鉄道会社では「4時間仮眠で18時間勤務」というようなシフト勤務が一般的で、運転士はもちろん、車掌や駅員らも慢性的な睡眠不足になりやすい。

2023年の北陸新幹線敦賀開業時にJR西日本から経営分離される並行在来線について、第三セクターの準備会社が設立された。せっかくの敦賀開業なのに、福井県民には大きなデメリットが生じる可能性が高い北陸新幹線。福井県では今、どのような対策がなされているのだろうか?

帰省ラッシュ真っ盛りの8月10日、静岡市でMaaSに関するシンポジウムが開催された。事業者などが参加するのかと思いきや、多数の一般市民が参加して400名の会場は満員。生活を便利に変えると言われる「MaaS」は、果たして静岡市民の期待に応えることができるだろうか?

あまり知られていない事実だが、実は戦時中、鉄道運行を支えていたのは女性職員たちだった。終戦時の国鉄職員の女性比率はなんと2割以上。女性活用が進みつつある現代よりも、高い比率である。

阪急阪神ホールディングスは10月、梅田駅を「大阪梅田」駅に改称することを発表した。この例だけでなく、不慣れな旅行者のために駅名を変えて認知してもらおうという動きはあちこちで起きている。駅名を変えるだけで、劇的に利用者サービスが向上するケースもあるのだ。

国交省が発表した2018年度の混雑率調査によると、東京圏は全体としてはほぼ横ばい。数十年前と比較すると、電車の混雑は確実に改善している。しかし、今なお混雑率が年々悪化している鉄道路線も存在する。

東海道新幹線の新型車両に、停電時でも走行できるバッテリーが搭載される。高速鉄道では初だが、実は地下鉄では、すでにバッテリー搭載車が走っている。東日本大震災の教訓から開発が急ピッチで進んだ鉄道の非常用バッテリーは、災害時だけでなく、普段の省エネにも寄与する優れものだ。

東京五輪まであと1年。来週から東京都は「スムーズビズ」なる、鉄道や道路の混雑緩和の予行演習を行う。しかし、驚くほど広報されておらず、知っている人の方が少ないと思われる今回の取り組み。結局、鉄道の混雑緩和のために何をすればいいのか分からぬまま、大会本番まで1年を切ろうとしている。

日本一のクルマ社会である福井県で、鉄道利用者が大幅に増加している。全国の地方鉄道が苦しんでいる中、どのようにして利用者を増やしたのか?福井県のケースは、全国の悩める地方鉄道にとって大いに参考になるはずだ。

新潟県の地方私鉄「えちごトキめき鉄道」が来春、3割も運賃を値上げすると発表して話題になっている。生活に欠かせない鉄道だけに、いきなりの大幅運賃アップは利用者にも負担が大きいはずだが、問題の根っこを探っていくと、三セク誕生時に、すでに無理なスキームで出発していたことがわかる。

水平、垂直方向に発散した各路線のホームを、駅ビルや地下街を介して接続した、まるで迷路のような構造だった渋谷駅が今、大きく変わろうとしている。東京メトロ銀座線やJR埼京線のホーム移設工事が完了すれば、利用者泣かせだった駅は一変するだろう。

経営危機が騒がれているJR北海道だが、JR四国も負けず劣らず悲惨な経営状況となっている。モータリゼーションの波にあらがえず、自家用車や高速バスに負けっぱなしのJR四国は果たして、どこに活路を見出せるのだろうか?
