枝久保達也
7日の緊急事態宣言発令を前に、鉄道の減便報道が出るなど、情報が錯綜した。実際には最終電車の時間繰り上げが検討されている模様だが、全時間帯での減便ほどではないにしても、やはり終電に乗客が殺到する危険性は残る。「外出の抑制」と「最低限の経済活動維持」の両立には、非常に慎重な判断が求められる。

コロナショックによって鉄道各社の経営も大きな影響を受けている。新幹線乗車率は軒並み前年比5割を切り、東京駅や新宿駅などターミナル駅の利用者数も8割減。大手鉄道事業者の減収は避けられない見通しだが、それにも増して厳しいのはJR北海道やJR四国、そして全国の中小私鉄だろう。東京五輪開催に合わせて行われていた新駅開設やホーム移設・改良工事は次々に竣工しているが、先の見通せない年度始めとなってしまった。

山手線最古の木造駅舎だった原宿駅の駅舎が、96年の歴史に幕を下ろした。同じく古い歴史を持つ東京駅の駅舎は復元工事を経て永久保存されることになったのに対して、旧原宿駅は解体が決まっている。ともに皇室とゆかりが深いなど、共通点も多い東京駅と原宿駅の歴史を振り返る。

リニアモーターカーというと、JR東海が開発しているリニア中央新幹線を思い浮かべる人が多いが、実は既に地下鉄では5都市7路線で採用されている。この方式は、通常の地下鉄と比べると、いくつものメリットがあるのだ。

3月14日で金沢まで延伸して5周年を迎える北陸新幹線。開業5年目は台風と新型コロナのダブルパンチで厳しい結果となりそうだが、これらの天災を除けば順調に推移してきた。一方で懸念されるのは、並行在来線問題。新幹線延伸に合わせてJRから経営分離されて第三セクターが誕生しているが、この並行在来線各社の経営問題が今後の焦点である。

3月14日のダイヤ改正で、東海道新幹線は1時間当たりの「のぞみ」の運行本数を2割増やす。地下鉄並みの運行間隔で新幹線を走らせる難易度は非常に高い。新型車両の導入はもちろん、設備の変更や現場である駅スタッフの声を聞き取るなど、足かけ約5年にわたるビッグプロジェクトの舞台裏を担当者に聞いた。

地下鉄日比谷線の脱線衝突事故からもうすぐ20年。事故原因は単純ではなく、小さな要因が複合的に重なったことで起きたことがわかっている。悔やみきれないのは、日比谷線事故以前の小規模な脱線事故から得られた教訓を生かせていなかったこと。改めてこの5人もの人命が失われた事故を振り返り、鉄道会社の安全対策を考えてみたい。

国土交通省が発表した東京圏鉄道路線の2018年度の遅延状況。これを分析してみると、小規模な遅延(10分以下)を頻発する路線と、大規模な遅延(30分超)が発生する路線は、それぞれ特徴があることが見えてくる。

JR東日本、JR北海道、JR西日本の3社が3月から、ICカードを用いた新幹線のチケットレスサービスを開始する。新サービスを裏で支えるのは、クラウド化されたSuicaシステム。そして、この新システムの未来には、JR東日本が掲げる「タッチレス・ゲートレス」改札が見えている。

つくばエクスプレスの春のダイヤ改正が発表された。目玉は、朝のラッシュ時間帯の運行本数増加。一方で通勤快速が消え、区間快速の停車駅が増えるなど、速達性は低下する。なぜこうした決断をしたのか、その理由を探ってみよう。

阪神電気鉄道がQRコードの実証実験をすると発表した。他にも、昨年12月から開始している大阪メトロや、今年5~6月に予定しているJR東日本など、QRコードの実証実験が相次いでいる。鉄道事業者が狙うのは「磁気乗車券の削減、廃止」。磁気乗車券は、意外にもコストが高いのだ。

積雪5センチでダイヤ混乱、首都圏鉄道が雪に強くなれない理由
今年は暖冬といわれているが、今後まとまった降雪がないとは限らない。そこで考えておきたいのが、雪に弱い首都圏の鉄道事情。過密ダイヤで運行されているため、雪国の鉄道のような除雪もあまり意味がなく、降雪時には、間引き運転が行われて駅は大混乱となる。台風時と同様に、休業や始業時間の繰り下げなどが柔軟に行われるようになってもいいのではないだろうか。

JR九州が目指すローカル線でのドライバレス運転。システムが運転制御し、乗務員が車掌業務や非常時対応を担うものだ。技術開発も進み、今や自動列車運転装置による運行は、運転士によるものと大差ないという。人手不足が進む中、ローカル線生き残りの切り札の1つとなる可能性を秘めている。

2020年春に行われる東海道新幹線の春のダイヤ改正が発表された。ピーク時間帯の運行間隔はなんと平均3分30秒。まるで地下鉄のようなダイヤが可能になった背景には、JR東海が工夫の末に実現した「こだまの高速化」がある。

年末年始の6日間をかけて、東京メトロ銀座線渋谷駅の移設工事が行われる。今の渋谷駅はJRから銀座線への乗り換えは一苦労だが、新しい駅は、本当に乗り換えが便利になるのだろうか?

12月20日、東京メトロ千代田線が開業50周年を迎える。千代田線の歴史を考えると、東京の地下鉄整備の考え方がよくわかる。そして、時代の最新鋭コンセプトの車両を取り入れるなど、先進的な路線でもある。

中曽根康弘元首相の死去で、国鉄民営化に再び注目が集まっている。JR北海道やJR四国の経営危機を見れば、「国鉄民営化が本当に成功だったのか」という疑問を抱くのも当然だろう。しかし、民営化そのものの是非を考える以前に知っておかなければならないのは、国鉄の抱えていた致命的な矛盾と、実はその矛盾を今なお、JR北海道やJR四国が引きずっているという現実である。

10月に山梨県のリニア実験線で起きた、車両からの出火事故。リニアは線路の9割がトンネルだから、火災には不安を覚える人も少なくないだろう。しかし、JR東海の情報公開があまり積極的ではないことや、ローカルメディア以外は詳しく報じていないこともあって、真相がよく見えないままだ。

11月30日、相模鉄道とJR埼京線の直通運転が始まる。東京圏では珍しくもなくなった直通運転だが、この相鉄・JRはわざわざ本線から連絡線を新設して直通するという珍しい形態をとっている。そこで気になるのは連絡線上の新駅「羽沢横浜国大駅」。直通運転の電車しか通らないために本数が少ないし、直通運転中止の際には陸の孤島になりかねない立地なのだ。

12月1日に開通する首都高小松川ジャンクション下は、かつて「幻の私鉄」の駅があった場所だった。鉄道空白地域だった江戸川区周辺の資産家たちが作った城東電気軌道である。せっかく整備された私鉄が、たった25年ほどで消えてしまった理由とは?
