千本木啓文
日立グループ再編「最後の抵抗勢力」を攻略、新社長の日立ハイテク“操縦術”
『週刊ダイヤモンド』10月2日号の第1特集は「日立財閥 最強グループの真贋」です。東芝、三菱電機、パナソニックなど日系電機メーカーが凋落する中、唯一気を吐いているのが日立製作所だ。デジタル化を軸にした同社の改革は本物だったのか、本当に世界で勝てる実力が付いたのか――。脱製造業のモデル、日立の真贋に迫ります。

#6
JAグループ京都を26年以上にわたって牛耳ってきた中川泰宏は、農家らの出資でできている農協組織を私物化してファミリー企業への利益誘導を行っている。中川が会長を務めるJAバンク京都信連から2億円超の融資を受けて農協から購入した土地で「地上げ」を行った衝撃の事実とその顛末を明らかにする。

#12
日立製作所は長年、独シーメンスをベンチマークにして事業改革を行ってきた。しかし、注力分野の収益力やデジタルトランスフォーメーション(DX)事業ではシーメンスが先行しており、“勝者総取り”的に顧客を囲い込む公算が大きくなりつつある。一方、日立の一発逆転の切り札が1兆円で買収した米グローバルロジック(GL)だ。徳永俊昭・日立副社長は「シーメンスと戦って十分に勝ち得る」と自信を見せた。徳永氏が考える「勝ち筋」とは。

#11
日立製作所や東芝、三菱電機はデジタル事業を成長分野に位置付けているが、想定したほどには事業規模を拡大できていない。実は日系企業には、欧米や中国の企業と比べて、DX事業で実績を上げにくく不利な戦いを強いられる特別な事情がある。地政学リスクや経済安全保障の意識の高まりにより、母国の社会インフラにおいてデジタル化の実績をつくることの重要性は増すばかり。日系DX企業のハンディキャップの「深層」に迫る。

#9
日立製作所はグループ会社に技術力や人材を提供するなど、恩情をかける企業の代表格だった。グループ会社社員は、日立の手厚い福利厚生などを享受することができた。だが、時代は変わった。デジタル事業と相性の悪い子会社は容赦なく売却する方針が貫かれた結果、22社あった日立の上場子会社は残り1社、日立建機だけとなった。その日立建機でも売却観測は絶えない。激動の時代を生きる日立グループ関係者の肉声をお届けする。

#8
日立製作所の東原敏昭会長CEO(最高経営責任者)は、日本経済団体連合会前会長の中西宏明氏から社長を引き継いでから7年間、数千億円から1兆円規模の事業の買収・売却を続けて事業ポートフォリオの変革に注力してきた。東原氏の経営は、川村隆(元・日立会長)―中西体制が敷いたレールの踏襲と評されることが多いが、そうした評価に対して、東原氏自身は葛藤を覚えていたようだ。後継社長の指名を果たした今だからこそ語れる、壮絶な再建秘話について聞いた。

#6
日立製作所とパナソニックは今年、北米のIT企業を巨額買収するという大ばくちに打って出た。旧来の“ものづくり”から、デジタルトランスフォーメーション(DX)事業への大転換を加速するための決断だ。だが、企業価値が暴騰しているIT企業の買収は減損リスクが付きまとう。日立とパナソニックによる巨額買収の成否を徹底検証した。

#5
「ジョブ型」の人事制度への移行が注目された日立製作所だが、実際には、旧来の年功序列的な給与体系が温存されている。だが、そうした一般社員をよそに、デジタルトランスフォーメーション(DX)事業に不可欠なデータサイエンティストには国内でも4000万円の年俸を用意し、人材争奪戦に参加していることが分かった。日本型と欧米型の雇用慣行が混在し、格差が拡大している日立の実態を明らかにする。

#3
6月に社長が交代したばかりの日立製作所だが、社内では早速次期社長の候補たちがしのぎを削っている。急成長する3部門それぞれのトップを務める社長候補が巨額買収を仕掛けて実績作りに躍起になっているのだ。日立社内の権力構造に迫る。

#2
日立製作所は、完全子会社化したばかりの日立ハイテクの主要部門を大幅に縮小する方針を固めた。当該部門の社員は日立本体のDX(デジタルトランスフォーメーション)事業要員として移管される見通しだが、大幅な職務変更を迫られる。日立ハイテクは一時、事業の切り売りも検討された因縁の元・上場子会社だ。最終的には、日立のDX事業とシナジーがあるとの経営判断から、売却方針は見送られて本体へ吸収された経緯がある。日立グループに残れた子会社であっても、弛みない構造改革が待っている――。そして、その構造改革の手綱を握っているのが、小島啓二「新社長」である。日立のグループ統治術の真相に迫った。

#1
事業のデジタル化に舵を切り、M&A(企業の合併・買収)を繰り返してきた日立製作所の変貌が止まらない。米IT企業の1兆円買収により、デジタルトランスフォーメーション(DX)市場で戦うための土台ができた。そのタイミングで颯爽と舞台に上がったのが新社長の小島啓二氏なのだが、グローバル市場での戦況は決して楽観できない。小島氏が急ぐ、さらなる事業構造改革の「一手」に迫った。

#5
JAグループ京都を26年以上にわたって牛耳っている中川泰宏が農協の経営に携わる前に得意としていたのは、経営難に陥った企業を整理、売却するビジネスだった。中川は農協の経営再建でもそのノウハウを存分に活用した。だが、リストラや合併は、農協の本業である農業振興の機能を弱体化させてしまった。そのことをデータや農家の声から裏付ける。

#4
JAグループ京都を26年以上にわたって牛耳っている中川泰宏は、36歳の若さで農協組合長に就任した。その上部団体の農協連合会会長に就任したのは6年後の42歳のときである。通常、連合会会長になるのは60代後半なので、かなりのスピード出世といえる。中川が“農協独裁体制”を築き上げるまでに、野中広務・元自民党幹事長が果たした役割を明らかにする。

番外編
ワクチン担当大臣補佐官として新型コロナウイルスのワクチン接種状況を記録するシステムの開発を担当するなど、政府のIT投資に詳しい小林史明衆議院議員にデジタル庁の課題を聞いた。

#3
JAグループ京都のトップに26年以上にわたり君臨する中川泰宏は、高校を卒業するとそのまま独立起業の道を選んだ。足の障害を「名刺代わり」や「交渉の武器」にすることで貸金業や不動産業の世界でのし上がっていった。だが、カネを稼ぐだけでは中川の心の欠乏感は満たされなかった。

#2
JAグループ京都のトップに26年以上にわたり君臨する中川泰宏は、いまでこそこわもての権力者だが、幼少期は病弱で、足の障害をだしにいじめられるなど辛酸をなめていた。進学や就職でも障害がネックになったが、高校を卒業直後は、たくましい青年実業家へと変貌した。中川はいかにして暗い青少年時代と決別したのか。

#1
JAグループ京都のトップに26年以上にわたって君臨する中川泰宏は、「ラジオ番組の主役」「小泉チルドレン」──としてて、京都府で高い知名度を誇る。彼を改革派と見る府民も少なくない。だが、中川には知られざる一面がある。農協組織を意のままに動かして「地上げ」などを行い、ファミリー企業への利益誘導をしているのだ。とりわけ、目の上のたん瘤だった政敵、野中広務元自民党幹事長が故人となった2018年以降は中川のやりたい放題となっている。連載『農協の大悪党 野中広務を倒した男』では、「農協の独裁者」誕生の秘話や野中との権力闘争、中川の裏の顔を明らかにしていく。

予告編
JAグループ京都のトップに26年以上にわたって君臨する「農協界のドン」の裏の顔
JAグループ京都のトップに26年以上にわたって君臨する中川泰宏氏は「ラジオ番組の主役」「小泉チルドレン」――として、京都府で高い知名度を誇る。だが、中川氏には知られざる一面がある。地元の農協の「労働組合潰し」が違法認定された他、農協組織を意のままに動かして「地上げ」を行い、ファミリー企業に利益誘導を図っているのだ。本連載では、そうした中川氏の裏の顔や、政敵、野中広務・元自民党幹事長との権力闘争などを明らかにしていく。

#4
ダイヤモンド編集部は、政府のITシステム投資を寡占的に受注してきた大手ITベンダーの天下り受け入れ状況を独自に調査した。受け入れ人数が最も多かったのはNTTグループの25人で、ITシステムの受注額においてもトップだった。この官民の癒着構造を断絶できなければ、デジタル庁は“砂上の楼閣”と化してしまうだろう。

#1
新型コロナウイルス対策の給付金を国民に配るシステムの不備などにより、日本政府は「デジタル敗戦」を認めざるを得なくなった。その政府が起死回生を狙い、9月1日に立ち上げるのがデジタル庁だ。デジタル庁職員500人の出身組織の構成を明らかにするとともに、同庁幹部が大手ITベンダーを批判しつつも、実際には引き続き大手ITベンダーに依存している実態を明らかにする。
