千本木啓文
富士通はこの1年で単身赴任者を900人減らした。対面で行っていた仕事をリモートワークと出張に置き換えたのだ。社員からの評判も良く、さらに単身赴任の解消を進める。リモートワークに適した人事制度改革を行えるかどうかが今後の課題となる。

#12
農協界のドンで、元小泉チルドレンでもある中川泰宏が政治家として最も輝いたのは八木町長時代だ。中川は利権の温床となっていた町の同和対策事業を全廃したのだ。同和団体が町役場に押し掛けるといった抵抗にひるまず利権に切り込んだ。衆議院議員だった野中広務もそれを応援した。しかし、中川のある「裏切り行為」によって2人は反目していく。

#11
農協界のドンで、元小泉チルドレンでもある中川泰宏を語るとき、政敵として立ちはだかった自民党元幹事長の野中広務は欠かすことのできない存在だ。師弟関係から始まった二人は、最終的に完全に敵対し、野中が中川のことを「正面の敵」と公言するまでになった。同志でもライバルでもあった二人は初対面からすでに火花を散らしていた。

#14
日本政府は2050年までに農林水産業の「CO2ゼロエミッション化」の目標を掲げる。だが、一つの重大な懸念がある。社会全体のカーボンニュートラルに不可欠な“燃料”としてのアンモニアの利用が増えると、農業に欠かせない“肥料原料”用途のアンモニアが足りなくなってしまうのだ。肥料価格の高騰や収穫量の減少、ひいては食料危機にもつながりかねない大問題の真相に迫った。

#7
日本政府が目標とする2050年のカーボンニュートラルを実現するための目玉対策としているのが、2兆円の「グリーンイノベーション基金」だ。同基金は、財務次官からバラマキ政策の一例として公然と批判される一方で、「予算規模が他国より1~2桁少ない」と真逆の指摘もなされている。果たして同基金は出遅れた日本の環境技術を復活させる起爆剤になれるのかを徹底検証する。

#10
農協の共済事業の大元締めであるJA共済連などJAグループ全国組織の役員を25年以上務める中川泰宏は、在任期間が断トツに長い長老格の農協リーダーだ。その“実行力”と“ゴネ力”により農協界での存在感は圧倒的である。中川のJAグループ内での振る舞いや、JA全農、共済連などに与えた負の影響を検証する。

#9
JAグループ京都を26年以上にわたって牛耳っている中川泰宏は、政府による農協改革に真っ向から反対し、改革を主導した自民党農林部会長の小泉進次郎や農水省次官の奥原正明(いずれも当時)と対峙した。中川らJAグループ京都幹部が農協改革を骨抜きにしようとするだけでなく、奥原の解任まで画策していた証拠を明らかにする。

東芝が経済産業省と組んで株主の議決権行使を制限したとされる問題で、経営の混乱を招いた責任を取って退任した東芝の豊原正恭前副社長と加茂正治前上席常務がダイヤモンド編集部のインタビューに応じた。両氏は退任の引き金になった外部弁護士による調査報告書は「メールの文言を継ぎはぎしたフィクションだ」と断言。東芝に公平な再調査と、その結果の公表などを求めた。

#8
中川泰宏が26年以上にわたってトップを務めてきたJA京都は、農業者ではない地域住民を農協の経営に関与する正組合員にしてしまう「農家数の水増し」を行っている。この行為は農協の存在意義を自ら否定する重大な問題であり、農協が農業者による協同組合ではなくなっている実態をも浮き彫りにした。中川が開けてしまったパンドラの箱の中身を明らかにする。

番外編
日立製作所は、常に独シーメンスをベンチマークに置いて事業構造改革を行ってきた。では、シーメンスは日立のデジタルトランスフォーメーション(DX)事業の実力をどう見ているのか。堀田邦彦・シーメンス日本法人代表取締役社長兼CEOに、日立に対しての同社の強みや今後の課題などを聞いた。

#7
中川泰宏に26年以上にわたって牛耳られてきたJAグループ京都では、選挙で中川に貢献した職員が登用される異常な人事が行われてきた。農協幹部が代表などを兼ねる政治団体は、公職選挙法に抵触する疑いのある活動を行っているなど問題が多い。2021年に70歳になった中川は、自らの後任に忠臣を据えて院政を敷き、世襲を画策しているとみられる。本来、農家によって民主的に運営されるべき農協が、中川個人によって支配されている実態を暴く。

日立グループ再編「最後の抵抗勢力」を攻略、新社長の日立ハイテク“操縦術”
『週刊ダイヤモンド』10月2日号の第1特集は「日立財閥 最強グループの真贋」です。東芝、三菱電機、パナソニックなど日系電機メーカーが凋落する中、唯一気を吐いているのが日立製作所だ。デジタル化を軸にした同社の改革は本物だったのか、本当に世界で勝てる実力が付いたのか――。脱製造業のモデル、日立の真贋に迫ります。

#6
JAグループ京都を26年以上にわたって牛耳ってきた中川泰宏は、農家らの出資でできている農協組織を私物化してファミリー企業への利益誘導を行っている。中川が会長を務めるJAバンク京都信連から2億円超の融資を受けて農協から購入した土地で「地上げ」を行った衝撃の事実とその顛末を明らかにする。

#12
日立製作所は長年、独シーメンスをベンチマークにして事業改革を行ってきた。しかし、注力分野の収益力やデジタルトランスフォーメーション(DX)事業ではシーメンスが先行しており、“勝者総取り”的に顧客を囲い込む公算が大きくなりつつある。一方、日立の一発逆転の切り札が1兆円で買収した米グローバルロジック(GL)だ。徳永俊昭・日立副社長は「シーメンスと戦って十分に勝ち得る」と自信を見せた。徳永氏が考える「勝ち筋」とは。

#11
日立製作所や東芝、三菱電機はデジタル事業を成長分野に位置付けているが、想定したほどには事業規模を拡大できていない。実は日系企業には、欧米や中国の企業と比べて、DX事業で実績を上げにくく不利な戦いを強いられる特別な事情がある。地政学リスクや経済安全保障の意識の高まりにより、母国の社会インフラにおいてデジタル化の実績をつくることの重要性は増すばかり。日系DX企業のハンディキャップの「深層」に迫る。

#9
日立製作所はグループ会社に技術力や人材を提供するなど、恩情をかける企業の代表格だった。グループ会社社員は、日立の手厚い福利厚生などを享受することができた。だが、時代は変わった。デジタル事業と相性の悪い子会社は容赦なく売却する方針が貫かれた結果、22社あった日立の上場子会社は残り1社、日立建機だけとなった。その日立建機でも売却観測は絶えない。激動の時代を生きる日立グループ関係者の肉声をお届けする。

#8
日立製作所の東原敏昭会長CEO(最高経営責任者)は、日本経済団体連合会前会長の中西宏明氏から社長を引き継いでから7年間、数千億円から1兆円規模の事業の買収・売却を続けて事業ポートフォリオの変革に注力してきた。東原氏の経営は、川村隆(元・日立会長)―中西体制が敷いたレールの踏襲と評されることが多いが、そうした評価に対して、東原氏自身は葛藤を覚えていたようだ。後継社長の指名を果たした今だからこそ語れる、壮絶な再建秘話について聞いた。

#6
日立製作所とパナソニックは今年、北米のIT企業を巨額買収するという大ばくちに打って出た。旧来の“ものづくり”から、デジタルトランスフォーメーション(DX)事業への大転換を加速するための決断だ。だが、企業価値が暴騰しているIT企業の買収は減損リスクが付きまとう。日立とパナソニックによる巨額買収の成否を徹底検証した。

#5
「ジョブ型」の人事制度への移行が注目された日立製作所だが、実際には、旧来の年功序列的な給与体系が温存されている。だが、そうした一般社員をよそに、デジタルトランスフォーメーション(DX)事業に不可欠なデータサイエンティストには国内でも4000万円の年俸を用意し、人材争奪戦に参加していることが分かった。日本型と欧米型の雇用慣行が混在し、格差が拡大している日立の実態を明らかにする。

#3
6月に社長が交代したばかりの日立製作所だが、社内では早速次期社長の候補たちがしのぎを削っている。急成長する3部門それぞれのトップを務める社長候補が巨額買収を仕掛けて実績作りに躍起になっているのだ。日立社内の権力構造に迫る。
