千本木啓文
東芝の研究開発費がリーマンショック前から6割も減っている。アクティビスト(物言う株主)による株主還元圧力が強まっているからだ。成長投資が縮小すれば将来の展望は描けない。

政府と一体となり物言う株主(アクティビスト)に圧力をかけていたことが明るみになった東芝が、定時株主総会を前に4人の役員を事実上更迭した。今後はアクティビストと現経営幹部との間でポスト争奪戦が激化。非上場化を含む東芝の身売りなどで取締役会が分裂する事態も予想される。

#2
パナソニック製の床材が剥がれる不具合が多発している。ユーザーからのクレームへのパナソニックの対応は一貫しておらず、責任回避ともとれる同社の姿勢にユーザーは不信感を募らせている。クレームは、顧客との信頼関係構築の機会にすべしという創業者、松下幸之助氏の教えをパナソニックは忘れてしまったのか。床材不具合問題から同社の病巣に迫った。

東芝が、経済産業省と一体になって株主総会における株主の議決権行使に圧力を掛けていたことが外部弁護士による調査で明らかになった。株主への圧力に関わったり、その状況を放置したりした役員の続投に黄色信号が灯った。東芝の“人材欠乏症”がさらに悪化しそうだ。

パナソニックとトヨタ自動車が住宅・電池事業の統合で夢見た「将来構想」が画餅になりつつある。とりわけ深刻なのが住宅だ。問題事業を押し付けられた豊田章男・トヨタ社長がパナソニックに激怒しているとされ、両社間の火種になりかねない事態に発展している。住宅事業を巡り繰り広げられる冷戦の実態に迫った。
![トヨタ社長がパナソニックに激怒した当然の理由、「問題2事業」押し付けの末路[見逃し配信]](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/3/0/360wm/img_304b564d40507ea8ab92c5fcce313924299721.jpg)
イノベーション格差
自動車部品や製造現場の効率化などを成長事業に掲げたが、結局伸ばせず、家電の会社に先祖返りしたかに見えるパナソニック――。その迷走ぶりは、特許の出願件数にはっきり表れていた。デジタル化の技術を一貫して磨いてきた日立製作所や独シーメンスなどとパナソニックの研究開発を比較し、実力差を明らかにする。

トヨタ激怒
パナソニックとトヨタ自動車が住宅・電池事業の統合で夢見た「将来構想」が画餅になりつつある。とりわけ深刻なのが住宅だ。問題事業を押し付けられた豊田章男・トヨタ社長がパナソニックに激怒しているとされ、両社間の火種になりかねない事態に発展している。住宅事業を巡り繰り広げられる冷戦の実態に迫った。

日立・ソニーの後手
パナソニックと競合するソニーグループ、日立製作所との格差拡大が止まらない。競合2社は2021年3月期、1兆円超の利益をたたき出したが、パナソニックの純利益は2000億円に満たなかった。この実力差の要因を事業ポートフォリオの入れ替えや役員人事から徹底解明した。

日立製作所の社長が7年ぶりに交代する。小島啓二新社長はM&A(企業の合併・買収)による成長のタネの獲得は終わったという認識を示し、今後は「自分の力でスピーディーに成長する」ことに力を注ぐ考えを示した。

日立製作所が、財務や調達といった本社機能の一部を買収した海外企業に集約することで1000億円(実質的に1400億円)の収益改善効果を出すリストラ策を打ち出した。数千億円から1兆円規模の事業の売却と買収を繰り返し、選択と集中をほぼ完了した日立は、M&A(企業の合併・買収)の成否を決めるシナジーの創出に本腰を入れ始めた。

#6
東芝は、何としても避けたかった投資ファンドへの身売りを回避できたようだ。東芝身売り騒動の端緒となった英ファンドが買収の検討を中断したためだ。しかし、今回の騒動で株価がつり上がったことで、事業再編を求める株主の要求は高まっている。東芝の難局は続きそうだ。

#3
東芝の車谷暢昭社長が辞任に追い込まれた。自らの古巣の投資ファンドに東芝を買収させることで社長続投を画策した疑いを持たれたのがとどめの一撃になったが、退任の本質的な要因は、幹部社員から不信任を突き付けられていたことだ。車谷氏が社内で支持を失い、“裸の王様”になる過程を全解剖する。

東芝が、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズへの身売りの検討を始めた。CVCへの東芝売却は車谷暢昭社長兼CEO(最高経営責任者)批判の急先鋒だったモノ言う株主を排除できるため、現経営陣にとって渡りに船だ。一方、東芝社内からは、売却後、さらなるリストラや事業の切り売りが待ち受けているのではと、早くも懸念の声が上がっている。

#2
NTTグループは菅義偉政権に従順なようでいて、実際には対等以上に渡り合う“したたかさ”も持ち合わせている。携帯料金の値下げで譲歩しつつも、悲願だったNTTドコモの完全子会社化を政権に認めさせたのが、その典型だろう。政府との駆け引きの中で果実をもぎ取るNTTの「政治力の源泉」に迫った。

デジタル化の事業へのシフトを進める日立製作所が、米IT企業、グローバルロジックを約1兆円で買収する。1年前は大規模な企業買収に慎重だった東原敏昭社長が、一転強気になり、電機業界過去最大級のM&A(企業の合併・買収)に打って出た理由とは。

東芝の臨時株主総会で、シンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントの株主提案が可決された。同ファンド選定の弁護士が、東芝の定時株総の決議適正性を調べることになる。

毎日新聞社が大阪市にある自社ビルなどを信託銀行に譲渡し、210億円を借り入れることが分かった。販売部数の減少に歯止めが掛からない毎日新聞は、社員の早期退職などのリストラを進めてきたが、虎の子だった不動産も手放さざるを得なくなった。

全国504農協の2割が赤字転落!金融依存と米価暴落が「JA大淘汰」を招く
米価暴落とコロナ禍によって、農家も農協も、強者だけが生き残る大淘汰時代が幕を開けた。そうした中、農協間の格差問題は深刻だ。ダイヤモンド編集部の独自試算で、調査対象の2割に相当する96JAが赤字に転落する窮状が明らかになった。片や、農業に参入した企業は、絶対王者だったJA全農に対して下克上を狙っている。“乱世”に突入した農業をレポートする。

#21
世界で初めて植物工場でイチゴの生産・販売に成功し、トヨタ自動車やソニーが出資するファンドから55億円を調達した日本人がいる。米国在住の古賀大貴氏だ。ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから500億円超の出資を集めた競合も追い付けない古賀氏の生産技術とは。

#20
ダイバーシティー重視の波は、農業にも押し寄せている。「障害のある自分の子供がいきいきと働ける環境をつくりたい」と一念発起し自然栽培に挑戦している元ミュージシャンに、高収益経営を実現した「農業革命」のプランについて聞いた。
