重石岳史
#7
物流再編を誘引したとされるのが、米投資ファンドのKKRが昨年7000億円を投じた旧日立物流(現ロジスティード)の巨額買収だ。ロジスティードは今年、KKR系の上場不動産投資信託に保有不動産を売却し、その資金をアルプス物流の買収に充てた。このスキームは日本の物流業界に広まり得るのか。KKRジャパンの平野博文社長に聞いた。

#6
アルプスアルパイン系のアルプス物流の熾烈な争奪戦で、落札に成功したのがロジスティードだ。日立製作所の物流子会社から米投資ファンドKKRの傘下に入り、早速大型買収に着手した形だ。中谷康夫会長兼社長は2027年の再上場を見据え、さらなる一手を打とうとしている。

#5
日本企業が長期保有する不動産の含み益を標的にし、その売却を求めるアクティビスト(物言う株主)は今や珍しくない。鉄道貨物を取り扱う通運事業者や、特別積み合わせ貨物運送(特積み)の事業者は、駅近や市街地に優良物件を多く持つ。その不動産を巡る攻防戦が始まっている。

#3
AZ-COM丸和ホールディングスの買収攻勢を受けたC&Fロジホールディングス。そのC&Fをホワイトナイト(白馬の騎士)として救ったのがSGホールディングスだ。だが、その買収には“高値つかみ”の疑念が付きまとう。一方、争奪戦でいまだに戦果を上げられていないヤマトホールディングス。「動かぬ王者」の視線は一体どこに向いているのか。

#2
雪印乳業、東急グループ、リコー、東芝。名だたる大企業から物流子会社を譲り受け、この20年で急成長を遂げた物流会社がSBSホールディングスだ。そのSBSを率いる鎌田正彦氏は今、自身の出身であるSGホールディングスにも匹敵する売り上げ規模を視野に入れる。その勝算はあるのか。業界の「異能の経営者」を直撃した。

#1
日経平均株価が最高値を更新した今年上半期、最も値上がりした銘柄は実は物流株である。株価上昇率で1位はC&Fロジホールディングス、3位がアルプス物流。いずれも物流大手の激しい争奪戦に発展し、株価が急騰した。その再現性は高い。強者が弱者を食う再編時代が物流業界に到来したからだ。その「台風の目」となり得るキーマンに直撃した。

史上最高値を更新した日経平均株価の構成銘柄225社は、日本を代表する大企業だ。そのうち183社が6月に株主総会を開き、社長を含む取締役の選任議案が諮られた。株価が絶好調であれば、経営陣の選任に株主はもろ手を挙げて賛同しそうなものだが、さにあらず。とんでもない低賛成率をたたき出した経営者も存在した。その実名を公開する。

みずほフィナンシャルグループで唯一、「サステナビリティ・エバンジェリスト(伝道師)」の肩書を持つ金融マンがいる。米ゴールドマン・サックスで政策保有株の売却ビジネスに長年携わり、今年みずほ証券に入社した清水大吾氏だ。「資本主義を使いこなせば持続可能な社会を実現できる」と提言する清水氏は今年の株主総会を振り返り、ある変化の兆しを感じたという。それは一体何か。清水氏に聞いた。

デロイト トーマツ グループが今春、企業の株主対応支援を行うコンサルティング会社を設立した。その社長に招聘されたのは、野村證券やアイ・アールジャパンでアクティビスト対応などを長年手掛けた古田温子氏だ。6月の株主総会では過去最多の91社が株主提案を受けるなどし、防衛コンサルに対する企業のニーズは強まっている。古田氏が独占インタビューに応じ、アクティビスト防衛術や、新会社の狙いについて明かした。

取締役交代もあり得た株主総会として今年注目を集めたのが、北越コーポレーションとダイドーリミテッドだ。結果はいずれも会社側に軍配が上がったが、本当の勝者は他にいる。

米CNNの主任医療特派員として、世界中の戦地や被災地を取材するサンジェイ・グプタ氏は、脳神経外科医の肩書も持つ異色の記者だ。そのグプタ氏がこのほどダイヤモンド編集部の取材に応じ、最近の取材テーマである長寿の秘密や、米国で話題の「脳チップ」の可能性について語った。

株主提案の増加がやみそうにない。個人株主の提案も増え、「1億総アクティビスト化」の様相に頭を抱える経営者は多い。企業が今こそ実践すべき「最強のアクティビスト対策」とは何か。

創業者とその孫の“お家騒動”が勃発した電子部品メーカーのシライ電子工業。孫で前社長の白井基治氏は4月、社長職を不当に解職されたとして、自身の取締役復帰を求める株主提案を出した。だが、それを会社が受け付けなかったことが分かった。一体なぜか。そのカラクリは、株主総会の「変なルール」にある。

SMBC日興証券の幹部が金融商品取引法違反(相場操縦)の容疑で逮捕されてから2年が過ぎた。近藤雄一郎前社長の後継として、今年4月に新社長に就いたのが吉岡秀二氏だ。「冷静沈着で聞く耳を持つ柔軟性がある」(近藤氏)と評される吉岡氏は、一体どのようにして会社を立て直し、反転攻勢を仕掛けるのか。

北越コーポレーションが、窮地に追い込まれている。6月27日に開く株主総会で、筆頭株主の大王海運と第2位株主のオアシス・マネジメントから取締役の選解任を求める株主提案を受け、しかも合わせて約4割の北越株を保有する両株主は互いの提案に賛成し合うとしている。その窮地を脱することができるのか。3回連載「激突!12年目の決戦」の中編で、元銀行マンで現在は北越の社内取締役として財務や総務を統括する柳澤誠CFO(最高財務責任者)に直撃した。

#13
富裕層に選ばれるべく、大手金融機関が人員拡充や体制強化に乗り出している。富裕層向けのウェルスマネジメント事業で世界トップクラスの金融機関といえば、スイス発祥のUBSグループだろう。在日代表の中村善二氏に日本での拡大戦略を聞いた。

製紙業界5位の北越コーポレーションが6月27日に開く株主総会で、大株主の大王海運が取締役選任を求める株主提案を出した。2012年に北越が大王製紙株を買い取った当時から続く両社の対立に、ついに株主の審判が下される。だが大王海運は、なぜこのタイミングで株主提案を行ったのか。3回連載「激突!12年目の決戦」の上編で、まずは同社の岩井正実社長の証言から、複雑過ぎる「12年戦争」の全貌をひもとく。

#11
「ファミリービジネス大国」とされる日本には、業界を代表するオーナー企業が数多い。その中でも特に優れた「最強オーナー企業」はどこか。上場250社のランキングを作成し、ファミリービジネスの実態に迫る。

かつて「シャンシャン」といわれた株主総会が、経営者にとって針のむしろのような場に変わっている。「物言わぬ株主」とやゆされた機関投資家が豹変し、投資先企業の経営トップ再任に反対する事例が頻発しているからだ。彼らの議決権行使基準は年々厳格化されており、その基準を満たせない社長は“ダメ経営者”の烙印を押され、退場を迫られることになる。

大和証券グループ本社が5月、あおぞら銀行、かんぽ生命保険との資本業務提携を相次いで発表した。アライアンスを加速させる背景には、証券業界が直面する「二大変化」がある。
