
ヤニス・バルファキス
コロナ禍を受けて、階級闘争が激化している。熾烈さが目立つのは米中だが、資本家による「無駄な搾取」と市民の「深い絶望」という意味で悲劇に陥るのは欧州だと筆者は説く。

コロナ禍で一段と浮き彫りになった政治の寒々しい現実。2020年代の新たなファシストたちは権力を掌握するために政権に入る必要すらなくなりそうだと筆者は警鐘を鳴らす。

新型コロナ感染拡大に伴う経済的打撃に直面している欧州では、EUの基本概念である「連帯」をお題目とする南欧救済が議論されている。しかし、欧州に必要なのは「連帯」ではないと筆者は説く。

新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する欧州。「バズーカ」と形容されるほどの大規模経済対策が発動されるとの期待が高まっているが、ギリシャ元財務相の筆者はせいぜい「水鉄砲」程度と冷ややかだ。

2020年のブレグジットと1971年のニクソン・ショックには共通項があるとバルファキス元ギリシャ財務相は指摘する。それは、持続不可能なものは何であれ、最終的にはその崩壊をもたらす政治的仲介役を見つけることだという。

トランプ大統領とその取り巻きは、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんらリベラルな反対勢力が分かっていないことを理解しているように見える。だが、それを認めれば、自らが存続できなくなる。

資本主義が売買できる株式という武器を手にしたのは1599年のこと。ランティエ(金利生活者)資本主義の過ちを正すためには、そこまで立ち戻って仕組みを再考する必要があるとバルファキス氏は説く。

『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』の著者バルファキス元ギリシャ財務相による連載。今回は歴代の欧州中銀(ECB)総裁が直面している「馬鹿げた政治的制約」に関する論考です。

暗号通貨「リブラ」は優れたアイデアであるものの、フェイスブック主導では政治経済へのリスクが大きく、実現はIMFに委ねるべきだと、ギリシャのバルファキス元財務相は提言する。

海外のメディアや有識者はボリス・ジョンソン英首相をギリシャのヤニス・バルファキス元財務相に重ね、英国とギリシャのEU離脱騒動を同列に論じることが多い。バルファキス氏本人がその通説に反論する。

合意なきブレグジットの強行も辞さない保守党党首のジョンソン英首相。総選挙となれば労働党を率いるコービン氏には好機到来だと、ギリシャ元財務相のバルファキス氏は占う。

第7回
財政難にあえぐイタリアで事実上の「並行通貨」構想が浮上している。2015年のギリシャ経済危機当時の財務大臣で、並行決済システムを提案したことがあるバルファキス氏は、イタリア案は似て非なるものであり、ユーロ解体を招く恐れがあると警鐘を鳴らす。
