日銀の物価目標「2%」固執は根拠が曖昧な“懐古趣味”、柔軟運用に切り替えをPhoto:PIXTA

日銀はどこまで利上げ進める?
金融政策の前提、「2%」の根拠は曖昧

 日本銀行は3月に、2016年以来8年に及んだマイナス金利政策を終了させ、政策金利に戻したコールレートの誘導目標を0~0.1%として17年振りとなる金利引き上げに踏み切った。

 同時に、昨年秋の時点で既に形骸化していたとはいえ、長期金利を固定化するイールドカーブコントロール(YCC)政策も撤廃した。

 しかし、短期金利の水準はまだほぼ0%であり、5%超の米国や4%台半ばのユーロ圏と比較すれば異例の低さにとどまる。いずれこの異例の短期金利水準を引き上げてゆくことが日銀にとっての課題となるが、どのようなペースで、どのような水準まで引き上げてゆくのかについては、まだ全く霧の中という状況だ。

 日銀は金融政策運営の基本に「2%物価目標」を置いているが、もともと「2%」の根拠は曖昧であり、とりわけ日本の場合は、デフレ時代の政策論議を色濃く反映したものだからだ。

 物価目標に固執して緩和を長引かせたという声もある。そろそろより柔軟な運用を考える時期ではないか。