米中独で株価急回復、「財政拡張マネー」流入期待で再びバブルの気配!?Photo:PIXTA

S&P500やDAX指数は大統領選前上回る水準
関税ショックなかったかのような回復

 トランプ政権がかつてない規模の関税引き上げ政策を始めたことで調整色を強めていた株式市場だが、このところ、世界的にも勢いを取り戻しつつある。

 相互関税の具体策発表や発動を機に、株式や米国債、ドルの「トリプル安」となった米国市場も、S&P500指数は、「トランプ・ラリー」とはやされ、活況を呈した大統領選前の水準を上回ってきている。

 米国市場は何事もなかったかのように元の水準に戻り、さらに米国外に目を向ければ、ドイツの株価(DAX指数)は、米大統領選前の水準を一時、実に25%も上回った。

 トランプ政権が大幅な関税引き上げの対象にした中国でさえ、株価(上海総合指数)は米大統領選前の水準を2%程度ではあるが上回っている。

 米中の関税引き下げ合意で双方が115%引き下げたとはいえ、90日の一時停止期間になっている相互関税(上乗せ関税)を含め米国と各国の関税見直しの交渉はまだ途中だ。10%の一律関税などは実施されており、ドイツなど欧州諸国や中国にとってトランプ関税が自国経済にとってマイナスであることには変わりがないはずだ。

 それにもかかわらず、株価だけを見れば、4月の大きな混乱を経て、少なくとも現時点では関税のマイナスの要素は一切ないかのような水準を示している状況を、どう捉えるべきなのだろうか?

 考えられるのは、「財政マネー」の流入への期待だ。

 ドイツでは、トランプ政権が欧州の安全保障への関与を弱める姿勢を明確にしていることから、国防費の増強やインフラ投資が拡大され、中国ではトランプ関税による輸出減少を補うため内需喚起の財政拡張が打ち出された。トランプ政権のもとでも当面、高水準の財政赤字が続く見通しだ。

 財政マネーが向かう先は、実体経済なのか金融市場なのか。バブル再燃の気配も漂う。