
松本聡一郎
新たな技術を開発する力のある日本企業は少なくないが、多くの日本企業はその技術を普及させていく能力に乏しい。その原因は日本企業の多様性の欠如にある。多様性の一面である、女性の経営トップ層に占める比率で企業を分類し、その収益力を見ると比率が高い企業ほど収益力が高い。企業だけでなく社会も含めて多様性を日本に根付かせていくことが必要だろう。

日本企業の収益動向を左右するのは実は、世界景気である。ただこれまでは日本経済と結び付けられやすく、その停滞が日本株を割安にしてきた。しかし、2022年以降、世界経済の回復に伴って、日本企業の業績は上方修正され、日本株の割安さは修正されていくだろう。

日本は全体として所得格差の小さな国だが、格差問題がないわけではない。富や負担の分配において生じている世代間格差は深刻だ。いわゆるミレニアル世代は日本においてもしわ寄せを受けている。そうしたミレニアル世代は、それまでの世代より持続可能な社会の実現に強く関心を持つ。今後台頭するミレニアル世代が今後けん引するビジネス、業種は株式投資においても注目すべきである。

日本の株式市場では時価総額トップ企業群の顔ぶれが前世紀末からほとんど変わらず、変化が乏しい。新参者が続々と入れ替わってきた米国とは対照的だが、セクター(業種)別に見ると、市場全体とは異なる様相が浮かび上がってくる。

コロナ禍と米中対立でサプライチェーンの立地はグローバル型から消費地隣接型へと変わる。そうした構造変化に対応するために、世界的に設備投資需要は高まっていく。日本株もその恩恵を受けるが、その中でも成長が期待できる“2つの業種”を挙げる。
