井口慎太郎
建機メーカーの勢力図に異変が生じている。成長著しい中国メーカーは自国の市場を席巻するにとどまらず、東南アジアでも存在感を増している。かつては値段の安さを武器にしていたが、今では技術力でも日系メーカーに追い付いてきているのだ。日本勢はかつて「ドル箱」だった中国市場を追われ、東南アジアでも縄張りを侵食されている。猛追する中国メーカーの動向と、王者・米キャタピラーに次ぐ立ち位置を死守すべく立ち向かう日系メーカーの戦略を明らかにする。

#7
中国メーカーの技術のキャッチアップに、世界最大手の巨人・米キャタピラーの横綱相撲、激化する米中貿易戦争――。建機を巡る市場環境はまさに風雲急を告げている。第2次トランプ政権が発足早々に打ち出した関税政策も波乱要因だ。カナダとメキシコは報復関税をかける方針を示し、製造業を中心に多くの企業が振り回されている。本稿ではコマツの小川啓之社長に、日系メーカーが生き抜くための戦略を尋ねた。

#6
コマツと日立建機の2023年度の営業利益の各6割は部品の供給とアフターサービスが稼ぎ出している。建機のメンテナンス支援で利益を生む業態は、世界各地に代理店網を築いた日系の建機メーカーや総合商社の強みを生かすことができ、多大な利益もたらしてきた。このシステムをさらに改良できるかどうかが、激化する中国メーカーなどとのシェア争奪戦での勝敗を分ける。本稿ではメーカーと商社が構築してきたスキームと今後の課題をつまびらかにする。

コマツは1月31日、今吉琢也専務が4月に新社長に昇格する人事を発表した。財務部長や経営管理部長など管理部門の要職を歴任してきた経歴の持ち主だ。生産部門を歩んだ幹部がトップに就くことが多いコマツには珍しい人事と言える。関係者への取材から、異例の財務出身者がトップに就く理由を明らかにする。

#3
営業利益率15.7%に自己資本比率56.7%――。コマツの直近の業績は製造業界全体を見渡しても盤石な数字だ。100年を超える歴史で、赤字に陥ったのは2001年度だけ。同社の危なげない姿はまさに「優等生」といえる。安定の秘訣はどこにあるのか。本稿で徹底解明する。

#1
建機メーカーの勢力図に異変が生じている。成長著しい中国メーカーは自国の市場を席巻するにとどまらず、東南アジアでも存在感を増している。かつては値段の安さを武器にしていたが、今では技術力でも日系メーカーに追い付いてきているのだ。日本勢はかつて「ドル箱」だった中国市場を追われ、東南アジアでも縄張りを侵食されている。猛追する中国メーカーの動向と、王者・米キャタピラーに次ぐ立ち位置を死守すべく立ち向かう日系メーカーの戦略を明らかにする。

#74
建設機械における世界最大の市場、米国で第2次トランプ政権が発足する。設備投資の動きが真っ先に現れる業界だが、足元では金利の高止まりで買い控えする傾向があった。トランプ氏の再登板で今後の景況感はどう変わるのか。日立建機の先崎正文社長に2025年の展望を聞いた。

#71
新型コロナ禍が終息して以降、民間航空機の需要が右肩上がりだ。航空エンジンの製造を担う重工メーカーは上昇気流に乗っている。さらに、第2次トランプ政権の発足は防衛産業にどのような影響をもたらすのか。IHIの井手博社長に2025年の見通しを聞いた。

#67
かつて「中国銘柄」とされていた産業用ロボット大手に異変が起きている。ファナックと安川電機では、米国を中心とする米州大陸の売上高が5四半期連続で中国を上回っているのだ。新規導入の数では中国が圧倒的な規模であるにも関わらず、中国に代わる主戦場として米国を重視する傾向が強くなっているのはなぜなのか。

製造業向けIoTプラットフォームとして2018年にスタートしたエッジクロスコンソーシアムが、終了する方針であることがダイヤモンド編集部の調べで分かった。三菱電機や日立製作所、NEC、日本IBMなど7社で幹事会社を構成し、工場のIoT化を目指してきた。しかし、11月下旬に突然、会員企業に終了の方針が伝えられたのだ。一体、何があったのか。

三菱重工業は12月18日、泉沢清次社長の後任に最高技術責任者(CTO)の伊藤栄作氏が就く人事を発表した。技術部門の社長は2代連続となる。この人事には「二つのサプライズ」があった。同社の社長人事は年明けに発表されるのが通例だったが、今回は年末に公表された。さらに、水面下では伊藤氏とは別の幹部が次期社長として有力視されていたのだ。防衛特需と主力のガスタービンが好調で、業績が絶好調の重工最大手。そのトップ人事の舞台裏を明らかにする。

#7
重工大手がわが世の春を謳歌している。防衛予算が膨らんでいる上、民間航空機のエンジン部門が好調なためだ。米航空機大手ボーイングの業績不振で機体の新造が鈍る一方、アフターサービスなどで中長期的に収益を得られる航空エンジンが存在感を増している。ただ、三菱重工業と川崎重工業、IHIの重工3社でもその恩恵は異なっている。背景には3社のビジネスモデルの違いがある。重工大手の三者三様の“航路”を観測する。

#11
日本のものづくりの根幹を担う機械業界。企業の設備投資が業界の動向に反映されるため、景況感を示すバロメーターともいわれている。ダイヤモンド編集部は機械業界の倒産危険度ランキングを作成。“危険水域”にランクインした25社の顔触れを明らかにする。工業用ミシンで世界トップシェアのあの企業も上位に名を連ねていた。

IHI子会社のエンジン検査不正問題で、現場から設計・開発部門の役職者に不正をやめるよう再三の告発があったにもかかわらず、黙殺されていたことが特別調査委員会の報告書で判明した。

舶用エンジンメーカーで検査不正が相次いで発覚し、各社が原因究明と再発防止策の策定を急いでいる。IHI子会社のIHI原動機、日立造船(現・カナデビア)子会社の日立造船マリンエンジンとアイメックス、さらに川崎重工業―の大手3グループの4社が一時的にエンジンの出荷停止に追い込まれたことで、造船業界にはどのような影響が出ているのか。そしてエンジンメーカー各社の言い訳とは。
