行きたい会社から内定をもらえなければ
就活「失敗」!?

 私が館長を務める、キャリア支援スクール「我究館」には、次のような相談を寄せる学生が増えている。
「納得のいく結果が出せず、就職浪人を考えています」
「準備が間に合わずに、すべての企業に落ちてしまいました…」
「インターンやOBOG訪問など、本選考以外の行動量が少なくて、気づいたら周囲との差が大きく開いていて…どうすれば、今から挽回できるのでしょうか」

 切羽詰まった相談をしてくる学生の中には、すでに内定を得ている者もいる。だが、自身の感覚としては「行きたい会社からは内定をもらっていない」ため、「失敗」だと思っているのだ。

 納得のいく結果を出せなかった彼らや彼女らは、比較的優秀な場合が多い。
 人間的にも魅力的で、学生時代も力をいれてがんばったことがある。学歴も高く、TOEICなどの基本的な能力も高い。自分にもそれなりに自信がある。それでも結果を出せなかった。なぜだろうか。

差がついていたのは、
能力ではなく「動き出し」

 残念ながら失敗してしまった学生の多くには共通点がある。
 それは「動き出しの遅さ」だ。

 売り手市場になると「何とかなる」「急ぐ必要はない」と甘く見て、準備を怠る学生が増える。その結果、ゆっくりと就職活動をはじめてしまう。ここに落とし穴がある。

売り手市場と言っても「人気企業の難易度は変わらない」のが現実。
100倍や200倍は当たり前だ。

 ライバルの学生たちは、意中の企業から内定を勝ち得るために早期から準備を開始している。

 彼らは、近年、学生を評価する場となっているインターンシップやOBOG訪問などに積極的に参加し、本選考が開始するずっと前から、企業との接点を持っている。

 そして、かなり早い時点で企業に自分を売り込んでいる。そうした「非公式の場」を通じて、人事や社員から高い評価を得て内定に近づいているのだ。

 こうした背景には、売り手市場の中で、企業も優秀な学生の獲得に躍起になっていることが挙げられる。本選考よりも早い段階で、学生と接点を持ち、優秀な学生を囲い込みたいという思いがある。早い段階で動き出している学生は、彼らとの接点を持つことができるので、選考に有利に働いているのだ。

 情報感度の高い学生は、この「就活の早期化」ともとれる状況を敏感に察知し動いている。このため、動き出しが遅い学生はアピールに出遅れてしまう。通常の選考がはじまる大学4年生の春に動き出しているようでは、大きく差がつけられてしまっているのである。

 この記事が公開された9月頭には、インターンシップやOBOG訪問といった形で、2018年卒の就活は、事実上スタートしているのだ。