フィンテック研究所の瀧俊雄所長は「一定のルールに当てはまるかどうかを判断するような仕事は早くなくなりやすい」と指摘する。瀧所長はこの基準から、ランキングで「安全圏」となったコンプライアンス(法令順守)担当が最も早く消えるとみる。今回のランキングで下位となった職種でも、決して安心などできないというわけだ。

導入に躍起の銀行勢
ベンチャー幹部から冷ややかな見方も

「ITに長けた経営人材がいない」

「既存システムの保守思想と対立し、成功のタイミングを逃す可能性が高い」

「大規模なリストラを視野に入れ、既存ビジネスの収益を毀損するようなフィンテックビジネスを推進する決断はできない」

 昨今のフィンテックブームに乗ろうと躍起になっている国内の大手金融機関に対し、フィンテックベンチャー幹部からは上記のような冷ややかな声が散見された。

 メガバンクをはじめ銀行勢は、豊富な資金力や経営資源を持たないベンチャー企業にとって、いわば大事な「ビジネスパートナー」のはずだ。それにもかかわらず、アンケートに回答したフィンテック企業幹部の3割は、既存の金融機関がフィンテックの取り組みに「成功しない」と予測した。

 メガや地銀がフィンテックに前向きとなったきっかけの一つには、金融庁が主導する形で「お上」が後押しの姿勢を見せたことがある。

 2015年度の金融行政方針で重点施策の一つにフィンテックを挙げ、改正銀行法の成立など法律面の整備も進めてきた。

 アンケートに回答したあるフィンテック企業の社長は、こうした金融庁からのトップダウンで銀行らがフィンテックに必死に取り組む様子を「旧来の護送船団方式そのもの」と批判する。

 その上で、「金融サービスはニーズに地域特性があり、国によって必要なものは変わる。だが、金融庁は米国のフィンテックをコピーしようとするだけで、日本の実態を理解していない」と嘆く。

 例えば、金融庁は国内で「AIによる与信審査などの動きが広がっている」と評した。だが複数のフィンテック企業幹部は、同分野の事業例はほとんど見当たらず、分析は的外れだと指摘する。