3つのポイントで、
「メルカリ」の急成長を読み解くと?
スマホで「C to C(Consumer to Consumer:消費者間取引)」ができるフリマ(フリーマーケット)アプリの「メルカリ(mercari)」というサービスがある。同名の運営会社は2013年2月に創業したばかりだが、2015年10月にはアプリが2000万ダウンロードを超えたと発表された。
この劇的な成長を支えたのは、C to Cビジネスという「マーケット」が拡大を見せているのが大きな要因と考えられる。欧米の市場動向から、消費税が8%以上になったところでC to Cのマーケットが栄えることが経験則として知られていた。日本で消費税が8%になったのは2014年4月1日。それが「メルカリ」のビジネスを急成長させる1つの要因になったのだろう。
さらに2014年の中ごろには、多くのネットサービスで、利用端末がパソコンからスマホに大きくシフトした。スマホユーザーをメインターゲットにしたC to Cのフリマアプリが急激に成長したのは、この辺りに要因があると考えられる。
だが、「メルカリ」の急成長は、「マーケット」の拡大以外にも要因がある。それが3本柱の1つの「(経営)チーム」だ。
創業者の山田進太郎氏と、2015年5月に同社のCTOに就任した柄沢聡太郎氏は、それまでにネットのサービスをいくつも立ち上げ、成功させてきた。さらにCFOの小泉文明氏はミクシィをはじめとする数々のベンチャー企業で輝かしい実績を積み重ねてきている。その経験から、消費税増税とスマホシフトが起こる直前のタイミングで、スマホに焦点を当てたフリマアプリ(サービス)を開発することができたのだろう。
新規事業を成功させるうえで重要なのは、「タイミング」と「方向性」、「スピード感」の3つだ。山田氏は絶妙なタイミングと方向性で「メルカリ」のサービスを始め、柄沢氏・小泉氏を巻き込んだチームでスピード感を損なうことなく事業を大きく成長させた。この「(経営)チーム」の存在が、そのまま「差別化」要因にもなっている。
メガベンチャーへと成長した「メルカリ」の例が示すように、「マーケット」、「差別化」、「チーム」のいずれもが秀逸なら、事業は大きく育っていきやすいのだ。
組織のなかで「自分のミッション」を仕事につなげるための「2つの方法」を知りたい方は、『一生を賭ける仕事の見つけ方』第3章をぜひご覧ください!(構成:編集部 廣畑達也)