また三島が1926年から欠かさなかったという日光浴も再評価が進んでいる習慣である。太陽光の健康効果は侮れない。脳内のセロトニンが増え、うつ病などを予防できるだけでなく、紫外線を浴びることでカルシウムの吸収に欠かせないビタミンDが生成されるからだ。もちろん浴び過ぎは体に毒なので三島のように夏場は数分、冬場は30分ほどで十分。

「およそタダで得られるものほど必要度は高い。日光がそれである。次は空気である。必要でないものほど高価である。ダイヤモンドがそうだ」

 と三島は語っている。日光浴をする際、拡大鏡を使ってへその周りを温めていたというのはユニークだ。おきゅうの代わりとして独自に考案した方法らしい。ただし「やけどをしないように注意がいる」そうだ。

 これらの健康法に加え、歯と歯茎のケア、ロイヤルゼリーを紹介している。こうして見ると彼の健康法は現代でも十分通用するものだとわかる。

 62年、三島は全財産を投じて「三島海雲記念財団」を設立する。これは科学研究を助成し、広く人類の幸福に寄与することを目的としたもので、設立趣意書には「広野に播かれた一粒の麦になりたい」とある。植物は種を残し、人は志を残す。74年、彼は96歳でその人生を閉じるが、カルピスは今でも日本の夏を象徴する味として親しまれている。

参考文献/『私の履歴書 経済人10』