それが、あのリオでの活躍で一気に人気がブレイクした。社長は大喜びで給料の増額を決定。年収3000万円を約束したという。JOCからの銀メダルの報奨金200万円を合わせれば、今年ケンブリッジは3200万円を得ることになる。

 だが、今のケンブリッジの価値はこの程度では収まらないだろう。他社のCMに出演すれば3000万円以上は稼げるはずだ。

 ドームのホームページを見ると、同社の紹介ビデオがあり、そこにケンブリッジが出演している。新入社員のケンブリッジが、事業の説明を受けているという内容だ。社員なのだから当然ではあるが、「時の人」ケンブリッジをしっかり広告塔にしているわけだ。

 五輪での快挙を成し遂げた実力に加えて、あのルックス。彼がアンダーアーマーのロゴが入ったウェアを着れば、ブランドの認知度はさらに高まるだろうし、売上が伸びることは確実だ。また、ケンブリッジが所属しているということでも同社の株は上がるだろう。社員ということもあって年収3000万円で収まるのだろうが、それ以上もらっておかしくない。ただ、社長は彼が日本選手として初めて10秒の壁を破り9秒台を記録したら1億円のボーナスを出すとしているし、今後の活躍次第ではさらなる昇給の可能性は高い。

プロ野球に比べると平凡な
五輪メダリストたちの収入

 とはいえ、スポーツ界を見渡すと五輪メダリストが得る報酬は少ない。世界のトッププロとして認められているイチローや錦織圭が10億円以上の年収を得ているのは別格としても、日本のプロ野球でも1億円以上の年俸契約を交わしている選手はざらにいる。萩野の3800万円も、内村の2000万円(所属のコナミから得る収入を足せばそれ以上になるが)もケンブリッジの3200万円も、1軍の並みの選手と同等だ。

 4年間、厳しい練習に耐え、五輪本番では国民の期待という重圧を乗り越え、世界の頂点、あるいは2位になっても、この程度なのだ。また、メダリストになればまだしも、メダルに手が届かなければ報奨もない。もちろん選手たちは報酬が目的で競技をしているわけではなく、それとは別のモチベーションをかき立てるものや感じる喜びがあるはずだが、冷静に考えると割に合わないことをしているといわざるを得ない。

 毎日のように試合があり、大勢の観戦客を楽しませ興行収入が得られるプロスポーツとは構造が違うことはわかる。だが、スポンサーを募るなどの努力をして、すべての五輪アスリートが努力の見返りを得られる仕組みを作れないものだろうか。

 ちなみに、パラリンピックのメダリストへの報奨金は日本障がい者スポーツ協会から支給されるが、その金額は金=150万円、銀=100万円、銅=70万円だ。支援するスポンサーが限られていることもあるが、五輪と比べるとかなり少ない。障がい者アスリートが競技を続けるには金銭面も含めてより多くの負担が強いられるのにである。

 4年後の東京オリンピック、パラリンピックに向けて、こうした部分の改善にも目が向けられるようにしたいものだ。