NEC社長 遠藤信博
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NECが5期連続減収となる低空飛行を脱し、後れを取ったグローバル展開の巻き返しに動き出した。内向きの体質を打破し、縦割り組織の弊害を排除し、M&Aを成功させるために、2010年4月に就任した遠藤信博社長はいかなる旗を振るのか。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

  海外展開が遅れた最大の理由は、ヒト、モノ、カネの経営資源が国内市場中心に投じられていたからだ。また、NECの事業の特殊性もあるだろう。主力商品のパソコンや携帯端末のようなハードウエアを海外へ持ち出すだけでは、顧客が望むシステム・ソリューションの提案はできるはずもない。

 海外展開には二つの要素が必要だ。効率的に進めるには「プラットフォームの共通化」を図らなければならないし、一方で現地仕様のシステム・ソリューションを提供するには「カスタマイゼーションの最適化」作業が必要だ。まったく異なる“二つの労力”が必要な海外市場に対して、これまでは社内資源を振り分けられなかった。

 だが、これ以上グローバル化に後れを取ると、NECは存続できなくなる。日本企業が海外展開を加速させていて、ついていけなければ顧客を失い、国内の仕事もなくなる。加えて、国内市場の税制や規制がグローバル基準に収斂されるからだ。